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そのまた少し前。
午後2時、温泉街に続く一本しかない道路。
その道路を走る一台の車の中で、三人の男が温泉の気にあてられたように緩やかに話していた。
「しかし、温泉か。市長もなんだってそんなところに用があるのかね」
一人は頬に痣のある赤茶色の長髪の男。黄色く鋭い、鷹を思わせる瞳が特徴的だ。
後部座席に座り、パーキングエリアで購入した温泉卵を片手に流れていく窓の外を見る。
「まあ、温泉の煙草は美味いというジンクスもある。行ってやらないこともないが」
そう言いながらも温泉卵を食べる手は休めない。
気に入ったのかな。
もう一人の男_ハンドルを握る同乗者_露草夏騎は、その様子をミラーで確認しつつ思う。
こちらは紺色の髪に優しそうにたれ目の露草色の双眸。
「ライルくん、それ気に入ったのなら陽菜さんに買って帰れば良いんじゃない?温泉街にも売っているそうだよ」
「な、なぜ私が彼女に土産を買って帰る必要がある」
職場の同僚の名前を出すと、ライルと呼ばれた痣の男は目をクロールばりに泳がせながら答える。
「えっ今カノジョって言った?えっもう付き合ってるの?なにそれ初めて知ったなあ」
「そんなわけあるか!あいつは・・・」
「えっ今あいつって言った?もう亭主気取りかい?ちょっと早いんじゃない?大丈夫?」
「だから違うと言っているだろ・・・死にたいのか」
小学生かよ。
そんな微笑ましいやりとりを見ていた後部座席の黒髪に深紅の瞳をした青年は氷のように冷めた目でペットボトルの茶を飲む。
目的地に到着するまであと1時間といったところか。
「いや死にたくないよ!?当たり前だよ!」
「なら少し黙ることだ」
「前から思ってたけど君、命の扱い軽くない!?」
あの辺りにはほかになにがあるんだったか。温泉、旅館、海、観光施設・・・。暇を潰すにはもってこいの場所のようだが。青年_東雲睦月ははたと思い当たる。そういえば、今回の出張の理由をまだ聞かされていなかった。
「だって前も本当に死にかけたからね僕!」
「当たり前だろう!というか冷凍庫にぶち込んだのになぜ生きているんだ!」
「
「どちらかというと死んで詫びろ!」
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ラハル - アノさん» ありがとうございます!他の作者様の素敵な文に負けがちですが精一杯やらせていただきますのでよろしくお願いします!! (2017年3月5日 22時) (レス) id: a67c8f74a0 (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - アノさん» お褒めに頂き光栄です(*´∀`) 更新遅れてますが頑張りますね(^o^ゞ (2017年2月24日 20時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
アノ - 凄く楽しく見せてもらっています!凄くこの作品好きなので更新頑張って下さい!応援しています! (2017年2月24日 20時) (レス) id: 09388b2c82 (このIDを非表示/違反報告)
ラ八ル(プロフ) - 花園イリアさん» ありがとうございます!とても嬉しいです!これからも頑張るので宜しくお願いします!! (2016年11月25日 22時) (レス) id: dcc66ec7ef (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 花園イリアさん» 有難う御座います! ご期待に添えるように頑張りますね(*´ω`*) (2016年11月22日 9時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
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