3件目「湯煙愛憎殺人事件」 ページ34
「いえーい! 旅館なのじゃ!」
「
温泉旅館如月の里。今は不動が受付で手続きをしている。
その苦労を知らんとばかりに酒盛りをする気でいる月と黒江。その様子を廣瀬が冷めた目で見る。
探偵社員で慰安旅行…ではなく、廣瀬の入社パーティー。それよりも何故社内でやらないのか。それは月の我が儘で旅館を使いたいと言ったからだ。
「ここまでやらなくても……」
「月君の我が儘は聞かないといけないよ廣瀬君…!」
そう言う東雲の瞳はキラキラと輝いていて、いかにも楽しみにしているようだった。そして楔埜が白くてモコモコとした兎を持って来ている。それを目で追う松矢。松矢は最近山で誰かが拾ってきた野生児。いや、月詠と同い年だから野生人かもしれない。
「うさぎさんつれて行く?」
「兎…!」
「あはは、動物禁止だからダメじゃないですかー?」
「そっかぁ……。じゃあばいばいだね」
山吹が、動物禁止、と言うと楔埜が外へ出て兔を逃がした。
「う、うさぎって捕まえられるものでしょうか……」
「あの子を常識人として見ちゃいけないよ、冬雪ちゃん」
楔埜が逃がした兎の背中を見ながら公由が問う。その問いに美影が答えた。美影は真顔で、美影さえも常識人として見てはいけないと言う。楔埜も廣瀬や松矢と同じく最近入った社員だ。頭はキレるが極度の自由人。美影とは何かが違う自由人なのだ。
「俺が
「もしかして飴屋さんですか!?」
わーい動物長船の周りをピョンピョン飛び回る瀬川。
「オイ、はしゃいでいないで荷物を荷台に乗せておけと言ったであろうが!!」
「私は置いた。今」
「何故、今ドヤ顔で言う…!」
わー、怒らないでー、と美影がロビーの隅を見ながら大根役者の如く棒読みで言った。勿論そんな態度に腹を立てる不動は美影のパーカーの襟をつかんグワングワンと揺らす。
「それで、部屋はどこ?」
「715だ」
「お、七階ですか! 高いですね!」
荷物を荷台に置いてから東雲は不動の周りをピョンピョン飛び回る。長船の周りを瀬川が飛び回っていたのと同じ絵面だ。
「ほら、行くぞ」
・
・
・
「広いねぇ〜! これで男子と同じ部屋じゃなかったら最高だったのに」
「文句を言うな」
不動は美影にデコピンをかます。あでっ、と美影が額を押さえた。
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ラハル - アノさん» ありがとうございます!他の作者様の素敵な文に負けがちですが精一杯やらせていただきますのでよろしくお願いします!! (2017年3月5日 22時) (レス) id: a67c8f74a0 (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - アノさん» お褒めに頂き光栄です(*´∀`) 更新遅れてますが頑張りますね(^o^ゞ (2017年2月24日 20時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
アノ - 凄く楽しく見せてもらっています!凄くこの作品好きなので更新頑張って下さい!応援しています! (2017年2月24日 20時) (レス) id: 09388b2c82 (このIDを非表示/違反報告)
ラ八ル(プロフ) - 花園イリアさん» ありがとうございます!とても嬉しいです!これからも頑張るので宜しくお願いします!! (2016年11月25日 22時) (レス) id: dcc66ec7ef (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 花園イリアさん» 有難う御座います! ご期待に添えるように頑張りますね(*´ω`*) (2016年11月22日 9時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
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