【wrwrd】無表情な彼女の戦闘物語6【あかがみん】【日常組】【pkt】【^ら^】 (ページ19)

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第264話ページ19

グイッ
「！！」
Aはグルッペンの胸ぐらを掴んでいた手を、逆に引っ張られた。
グルッペンに引かれた手で、Aはグルッペンと顔の距離が近くなる。

「これは過去がどうだろうが、関係なくいつか言おうとしていた。
　俺の国へ来い。新しい人生を共に歩こう。」

「・・・は・・・？」
　Aは唐突な誘いに、目を見開き、丸くさせた。
「な、に言って･･･？何で、誘って･･･？」

「グループに誘ったその時から、ずっと見ていた。
　戦闘能力の高さ、冷静な判断力、魔法の精度、魔力量･･･
　どれも俺等に劣る事ない、素晴らしい能力の持ち主だ。
　初めはただその力にのみ惹かれていた。
　しかしどうだ？共に過ごしていれば人間染みているじゃないか。
　周りが言う怖い君など何処にいる？
　幼子の様に眠るし、大人の女性の様に微笑む。」

「･･･何、言って･･･？」

「君の過去を、俺は、俺達は何も知らない。
　君が教えてくれた以上には何も知らない。
　だから君の過去の苦痛を何も知らない。
　しかし、それを含めて君を我が軍へと勧誘したい。
　それぞれの過去を知らないのは、俺達も同じだ。
　だが過去の事など、俺等は気にもしない。
　ただ仲間と集い、日々を暮らし、戦争が出来ればそれで良い。」

「･･･戦闘なんて、出来たって･･･
　その時に役に立たなければ、意味がないっ･･･！」

「そうだな、俺等もそうだ。
　幾度となく戦場に出ては、偶に大怪我をして帰って来る。
　その度仲間にド突かれては、更に訓練を積んだ。
　その中では部下を失った者もいる。
　それでも前に進んでいる。
　こうして、クエスターとしても、な。」

「･･･何で、こんなっ･･･訓練したりっ･･･
　傍にいてくれたりっ･･･するんですか･･･？
　私はっ･･･私、は･･･師匠を、救えなくてっ･･･。」

「君を仲間として迎え入れたいからだ。
　まあ仲間に入れるが入れまいが、個人的に世話を焼きたかっただけの奴はいるがな。」
グルッペンはそう言ってから、Aを抱き上げる。
「っ･･･。」
Aは何か思い詰めた様な顔をして、自分を抱き上げているグルッペンを見下ろす。

「何がそこまで引っかかるのか知らないが、
　君が思っている以上に俺等は君を受け入れようとしている。
　前にも言ったか、誰かに言われたであろうが･･･
　話をするのは、君の･･･Aのタイミングに任せる。」