【d！】巡り廻って6【実況者】 (ページ10)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:9,555 hit

＃260 ページ10

無事トントンに救出(?)されたAは、彼に礼を言う。
「いや･･･俺もすまんかったわ。
　すぐ離させれば良かったな」
「い、いえっ」
申し訳なさそうに謝るトントンに、Aは慌てながら首を横に振る。
「オスマンもまぁ、
　ちゃんとやる気あるみたいやし･･･。
　不安やったら、俺にも声かけてや。
　いつでもついてったるから」
「あ、ありがとうございます･･･」

「子離れ出来へん親みたいやな」
「だまらっしゃい」
Aに提案をするトントンを見て、オスマンが口を尖らせて、ボソッと呟く。
それが聞こえたトントンは、ジト目で彼を見て圧をかけておいた。
「まあ俺ら2つ決まったし、
　戦闘系のは思いついたら行こ〜っ。
　先に遊んでよっ？」
オスマンが彼の圧を気にせずに、Aに声をかける。トントンは「仕方がない」とでも言う様にため息を吐いてから、またグルッペン達の話し合いへと戻った。

「あ、遊ぶ･･･」
「Aちゃん、課題は終わっとる？」
「あ、はい･･･。後は予習だけですね」
「わあ、いい子」
Aを褒めながら、ひとらんはチラリと別の方を見る。

「嫌やゲームするぅっ！！！」
「朝一でやるぅっ！！！」
「だまらっしゃい！！
　やるまでゲームさせへんからな！？」
「おう、朝一でやる言うてやらへんのは
　何処のどいつ等やったかなぁ･･･？」
「「「ヒエッ」」」

「・・・」
　母親の様なトントンに叱られ、兄さんから笑顔の重い重い圧をかけられている、課題をやらないメンバー数名。トントンまでは強気に出ていたが、兄さんが出てくると縮こまっている。
それを遠目に見てひとらんは、やれやれと首を振った。

「ゲームで遊ぼっ！
　トントン沢山ゲーム持ってるねん！
　何のゲーム好きっ？」
オスマンは少し離れた所にある、ゲームソフトが並べられた棚に行きながら、Aに訊ねる。
「･･･げ、ゲーム･･･」
「？もしかして、
　あまりゲームやらないの？」
「･･･あまり、と言うか･･･全く･･･」
「エミさんかな？？」
「え？」
ひとらんのツッコミに、Aはキョトンとする。
「エミさんも俺らと仲良くなる前、
　ゲームした事なかったんだって。
　今じゃめちゃくちゃやるけど。
　俺らに誘われてでもだし、
　自分からやったりするし」
彼の話を聞いて、Aはチラリとエーミールの方を見る。

「・・・」
「・・・！」

　エーミールはAに向けて照れくさそうに微笑み、人差し指を口にあてていた。