＃289 ページ39
グイッ
「や〜、お目が高いなぁ！！」
「んあ？」
「・・・！」
Aは手を引かれたかと思うと、麦わらの男子から離されていた。二人の間に入ったのは＿＿＿シャオロンだった。
「お前誰だ？ニット帽？」
「俺はシャオロン様だぜぇ？
有名人の"麦わらのルフィ"さんよぉ」
シャオロンがそう言うと、麦わらの男子は目を見開く。
「おおっ。何で知ってんだ？
俺はモンキー・D・ルフィ！
海賊王になる男だっ！！」
「…海賊王…？」
Aは聞き慣れない単語に、チラリとシャオロンの後ろから麦わらの男子…ルフィを見る。
「おおっ！喋れるんじゃねぇか！
全然喋ってくれねぇから人形かと思った！！」
「…人形じゃ、ないです…」
「何で隠れてんだ？」
「・・・シャオロンさん・・・」
「うん、頑張った頑張った」
「んん〜？」
彼との会話に何かを察して、Aはまたシャオロンの後ろに隠れる。シャオロンはAが顔を顰めているのに気づいて、ポンポンと頭を撫でてあげる。その様子を見て、ルフィは首を傾げる。
「何で隠れてんだぁ？
話すなら前出て来いよ〜！」
「いや〜話すの苦手な奴とは
オトモダチなった事ないんか〜？
話すの苦手やねん、グイグイ行ってやんなや」
「話すの苦手？
トラ男は静かめだぞ！」
「誰やトラ男！！知らへんわ！！」
「てかお前名前なんだ？」
「シャオロンやー言うたやろがいっ！！」
「なっはは！おもしれ〜！！」
「面白いのはええが面白がんな！！」
「んははははっ！！」
ケラケラと笑うルフィに、シャオロンはツッコミを入れて若干疲れている。
「アンタが話すと話進まん！！」
「ギャッ！！！」
「…！？」
ルフィが急に短い悲鳴をあげて、地面に頭がめり込んだ。
鈍い音もした為、Aは驚いてもう一度彼の方を見る。
床に倒れているルフィの後ろには、橙色の髪の女子高生が、片方の拳を構えて立っていた。
「全く…いっつも勝手に行動すんだから」
橙髪の女子はため息を吐いてそう言い、シャオロンとAの方を見る。
「あたしはナミ。うちの馬鹿がごめんねー？」
眉を下げながら笑って自己紹介をする、橙髪の女子…ナミ。先程ルフィを拳骨した時と違い、女性らしい笑みを浮かべている。
「お、おん…大丈夫なん？ソイツ」
シャオロンは戸惑いながらも、地面に頭をめり込ませたままのルフィを指差す。
「ああ、大丈夫。
コイツ柔らかいから、ゴムだし」
「あ、確か"ゴムゴムの実"の…」
「あら、知ってるの？じゃああたしも？」
「ま、まぁ…」
「やっだ有名人なったわねぇっ」
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作者名：桜華 | 作成日時：2022年12月1日 13時
