【d！】巡り廻って6【実況者】 (ページ35)

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＃285 ページ35

「…！」
チーノと火花を散らしていたゾムが、急に件の店の方を見る。
「？ゾムさん？」
チーノは張り合いがなくなり、不満そうに彼が見ている方を見る。

「…A」
「？はい」
店側を見たままのゾムに呼ばれて、Aは不思議がりながらも返事をする。
「チーノと一緒、おって」
「え？」
ゾムがそう言うと、チーノがパッとAの傍に行く。そして店の方を向いて、Aの前に立つ。
「エミさん、連絡」
「はい」
エーミールはすぐにインカムに触れ、誰かへと通信を繋げる。

「…み、皆さん…？」
周りの和やかで平和な雰囲気と真逆の、ピリつく様な雰囲気を漂わせる3人。Aは理解が追いつかず、不安そうに彼らを見る。
「だいじょーぶ！Aは俺らが守るからっ」
「・・・！」
チーノはニッと笑って、Aの方に顔を向ける。
Aはその笑顔を見て、目を見開く。
「ま、守るって、もしかしてっ…！？」

ドォンッ＿＿＿！！

「きゃあっ！？」
　数時間前に聞いたものは規模が小さいが、大きな音と共に強い風が吹いて来る。
活気に溢れていたショッピングモールで、悲鳴が溢れる。
突然の強い風に、Aは驚いて声を上げる。チーノがいてくれたおかげで、風と髪が揺れるだけで済む。
「っさっきの店…！？」

　＿＿＿Aが見た先には、入口が黒く焦げた雑貨屋があった。
「なーにか起きるんやなぁ…」
「くそダリィ…。
　休みの日くらい、何もせんでおれや…」
チーノはAを庇う様に立ちながら、ゾムはフードの下で顔を顰める。
「…他の方々には連絡済みです。
　トントンさんは警察を呼んでくれています」
エーミールは冷静にそう言いながら、チーノの隣に寄る。

　「あ"ぁ"〜…やっぱ海賊はダメだなぁ」

　雑貨屋の中から、気怠げな顔をした男が歩いて出て来る。男の白を基調とした服には、中で起きたであろう爆発で煤が着いていた。

　「納めるモン納めろっつーの…」
頭を掻きながらブツブツと何かを言う男は、「ん？」とやっと前を見る。
　自分が見られている事に気づいて、眉を顰める。そして不機嫌そうに、一番近い人物＿＿＿ゾム達に狙いを定める。
　「なんだぁ？見せモンじゃねぇぞ」

「・・・」
「…いやぁ。
　大きい音もして、警報も鳴ってるのにっ。
　注目しない訳ないじゃないですかぁ」
ジッと男を見るゾムとは対照的に、チーノは口角を上げながら男に答える。

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