＃282 ページ32
「い、今の内にAとチーノに、
合流せんでもええっ？」
「流石にチーノも男見せるやろ」
「気にしてはおきますか･･･？」
「そうだね〜」
「海由学園の生徒がおるのが、
気にかかるところやけどな」
チーノからのメッセージに追加された、ショッピからの画像共有。
落ち着かない様子のゾムを宥める、しんぺいとエーミール。
オスマンは二人からの情報を見ながら、難しい顔をしていた。
「あの学園貴族とかもおるから、
話した事ある人もおるんやけど･･･。
まー･･･
お嬢様が海賊とつるんどるとはなぁ」
「どの子？」
「ほら。この水色の髪の子」
オスマンの携帯を覗き込みながら、しんぺいは彼が指差した人物を見る。
「あら、美人さん。
この子お金持ちなの？」
「砂漠の国の王女様やで」
「･･･ネフェルタリ・ビビ？」
「流石エミさん、正解」
オスマンに言われ、エーミールは少しだけ照れくさそうに微笑んで、小さく頭を下げる。
「海賊になる予定の子達と遊んでるんだ。
まあ日常が制限だらけだろうしねぇ」
しんぺいは覗き込むのをやめて、「うーん」と考えながら言った。
「礼儀作法とかしっかりしとったけど、
若干お転婆な所は
ちょこちょこ出ててんな･･･。
執事大変そうやったわそう言えば」
「王女さんな〜･･･
テレビで見た事ある気がするわ」
オスマンとしんぺいの話に混ざって、シャオロンがそう言う。
「･･･ゾムー？
Aの事気になるんやったら、
エミさん連れて合流しぃ。
一応戦闘も出来るやろうし」
「！！おん！！行くでエミさん！！」
「ちょっ、ゾムさん！？わあああっ！？？」
・・・オスマンが声をかければ、ずっとソワソワしていたゾムが、パアッと笑顔になった。そしてそのままエーミールの腕を掴んで走り出した。
エーミールは急に引っ張られて転びそうになりながらも、彼に引かれてそのまま何処かへと行ってしまった。
「えー･･･。俺も行こうかな」
「そんな事言わないでよシャオロン〜っ」
「来んな来んな来んな！！！！！」
「待って〜っ！！」
「･･･団体行動、ホンマ出来へんな･･･」
嫌な気配を察知して、しんぺいから逃げる様に走り出したシャオロン。
そんな彼を、満面の笑みで追いかけるしんぺい。
そんな彼らの背中を見ながら、オスマンは困ったように笑って、ため息を吐いて、後を追って歩き出した。
あけましておめでとうございます(1/3である)
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作者名：桜華 | 作成日時：2022年12月1日 13時
