＃275 ページ25
「･･･人と関わらない分、
人たらしが過ぎへんかA･･･」
「あはは〜そうかもね〜」
窓辺で外の様子を見ながら、兄さんは煙草を吸っている。その隣では、しんぺいがケラケラと笑っていた。
「普段は俺らから離れようとする癖に、
大事な時にはああやって
距離近くしとる･･･。
まあそう言う奴多いねんけど･･･」
「まあまあ。
･･･兄さん、
前より気を使う様になったねぇ」
「あ？何がや？」
兄さんは、少しだけ開かれている窓の外へ紫煙を吐く。
「前までゾムから離れる、
くらいしかしなかったのに〜。
こうやって窓の傍で、
換気しながら吸って〜。
女の子･･･と言うより、
Aちゃんがいるからっ？」
しんぺいが布面の下で、ニマニマと笑いながら訊ねる。
兄さんは鬱陶しそうに眉を顰めながら、無言で煙草を吸い続ける。
「･･･たった5日間･･･や、6日間か。
それだけの短い間に、
警戒心が強いゾムに惚れられて、
媚び売っちゃうチーノが本気で接して。
他の警戒心強いメンバーも
あんな気にかけてるし。
･･･リーダーの気に入りが、
まだどう言う意味でなのか分かんないけど」
「戦力やろ」
「そこはハッキリ答えるのね」
一言発した兄さんに、しんぺいは苦笑いをする。
「･･･なんでだろうねぇ。
僕ら･･･
出会うより前から仲良かった気がするし、
チームを組むのも必然だった気がするし、
なんだかAちゃんと、
こうやって出会って、
仲間になって、
仲良くなっていくのも･･･
必然と言うか、運命な気がする」
しんぺいは目を閉じて、笑みを浮かべながら話した。
窓の隙間から風が入り、彼の布面を少しだけ捲り上げる。
そこから見えた彼の表情は、穏やかで、何処か普段とは違う雰囲気を纏っている様に見えた。
「･･･お前が言うと、
変に生々しいんよな。
オスマンとかと一緒で」
「ちょっと？？
せっかくかっこよく決まったのに
台無しにしないで？？」
「知らんわ
(･･･何で着物着とるコイツが見えた･･･？)」
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作者名：桜華 | 作成日時：2022年12月1日 13時
