【d！】巡り廻って6【実況者】 (ページ24)

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＃274 ページ24

Aがしんぺいに礼を言う間も、ゾムはAの肩に顎を乗せていた。
「･･･爆発、苦手なん？」
「え？」
ゾムがふと訊ねると、Aはキョトンとして首を傾げる。
「なんか、動揺しとったから･･･
　に、苦手、なんかなって」
そう訊ねるゾムはフードを深く被っている為、どんな表情をしているかは分からない。

「(＿＿＿好きですもんね、爆弾)」
少しだけ離れた所にいるエーミールは、ゾムの様子を見てそう考えている。
「(人の好みは人それぞれですが･･･
　彼女が"『嫌い』だと言えば、
　貴方は"好き"を隠し始めるのでしょうね･･･。
　･･･それは、得策でしょうか･･･
　片方が我慢をするなど･･･)」

「＿＿＿被害者の事は考えてましたよ」

「・・・え？」
今度はゾムが不思議がって、顔を上げる。
彼が顔を上げると、フードと前髪の隙間から、いつもの表情に戻っているAが、彼を見ていた。
「爆発系は能力にあるので、
　そこまで気にならないですよ。
　あそこまで地響きが凄かったので･･･
　能力者によるものか、
　それとも爆発物を使ったのかは、
　多少は気になりますが･･･」
「･･･爆発、嫌いやない･･･？」
見えるか見えないか微妙な隙間から、ゾムはAを見つめて訊ねる。その声にいつもの元気さはなく、不安が丸わかりの声をしている。

「好き嫌いは決められないですね。
　相手に向ければ傷つけますし、
　だから嫌いかと言うと、
　そうとも言えません。
　相手が害を加えるなら、
　爆発を使ってでも
　遠ざける必要もありますし」
「･･･それって･･･嫌い寄り？？」
「んー･･･どうなんでしょうね。
　そこまで使った事もないですし。
　･･･でも･･･」
Aはそこまで言うと、少しだけゾムの目を覗き込む様に、自分の目を近づける。

「＿＿＿先程のゲームでは、
　役立つ事もありましたし。
　実戦で使うのも良さそうですね」
Aはそう言い、目の前の揺れるペリドットを見て、ふわりと微笑んだ。

「・・・・・・
　あ、あ、あんま・・・
　そう言う、事っ、せんとッﾃ･･･」

「？ぞ、ゾムさん？」

　＿＿＿目が近づけば、自然と顔も近づく訳で。
あまりにもAとの距離が縮まって、ゾムは顔を真っ赤にして、両手で顔を隠してのけ反ってしまった。
それを見て、Aは首を傾げた。

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