【d！】巡り廻って6【実況者】 (ページ18)

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＃268 ページ18

「･･･何と、仰ってたんです？」
エーミールが訊ねると、兄さんは彼の方へと向き直る。
「『一人に向ける訳でもなく、
　複数人に向けるなら
　拳銃よりは散弾銃の方が
　いいですもんね』
　･･･やって」
兄さんの言葉に、エーミールは目を少しだけ見開く。

「＿＿＿向けられたんだろうな」
紅茶が入ったカップを置いたグルッペンが、静かに口を開く。
「幾ら全能力者だろうが、
　心臓か脳天を撃ち抜かれたら
　即死するのだろう。
　まあ、しないのかも知れないが」
「･･･大丈夫、ですかね？
　撃ち合いのものは、その･･･
　彼女の過去に触れてしまうのでは？」
「ゲームとリアルの区別は
　ついている様だが？」
エーミールの問いに、グルッペンは視線を別へ向けて問い返す。

「･･･あ。あそこ、います」
「ん、おけ。ピン刺せる？」
「こう、ですか？」
「あーっ、あっこか･･･！」
「ワンチャンスナイプで抜ける。
　チーノ、オラいけ」
「俺スナイパーやないんですけど！？」
「･･･！あ、抜きましたっ」
「「うそっ！？？」」
「青･･･60･･･？」
「まっじか･･･！」
「よし、突っ込め！！」
「「はいっ･･･！！」」

「･･･みたい、ですね」
　Aは何も動じず、ゲームに熱中している様である。ゾムとチーノと協力して、どんどん突っ込んで行く。
後ろで見守っているメンバーも、目を輝かせて見守っている。
　エーミールは少しホッとしながら、彼らがゲームに熱中している様を見守る。
「向けられた経験はあるかも知れないが、
　今はそれよりも･･･
　我々との時間を優先して
　考えているんじゃないか？
　これからどうせ、
　銃口を向けられる事なんて
　増えるだろう」
「増えちゃアカンのよ」
グルッペンの話に、兄さんが真顔でツッコミを入れる。
「此方が何をしても増えるだろう？」
「お前が変に
　『世界征服が目的だ』なんて
　悪役のセリフ吐きまくるからやろ」
「"どういった"世界征服かは
　伝えてもいないのにな？」
「やから余計制限かかってんねん」
余裕そうに笑っているグルッペンに、兄さんは眉を顰めている。

「皆それぞれ、
　優秀な所があるからねぇ〜。
　下手に制限をかけて、
　ソレの成長を止めたら･･･
　将来何があるか
　分からないしねぇ？
　上の人達に従順になって、
　思い通りになるかも知れないし？」
しんぺいは首を傾げて、ニッコリと微笑みながら、そう話す。