＃263 ページ13
「はーいっ、1−1クリア〜」
「す、ステージ制なんですね･･･」
ポーズを押して、一旦止めるオスマン。Aは少しだけ目を輝かせて、画面を見ている。
「まあこれ古めのゲームやし、
もっと開発進んどるゲームが
沢山あるんよ」
「そ、そうなんですね･･･？」
「せやで〜？
ほら、いっぱいあるでー？
コントローラーやなくて、
パソコンで出来るのもあるでっ？」
「ぱ、パソコン･･･。
あの･･･
オスマンさんはやったりしないんですか･･･？」
「んふふっ。
Aちゃん見てるの楽しいから、
しばらくやらへんかな〜。
どうしたん？
一人でやるの寂しいん？」
「え、あ、えっと･･･。
一人だけやるのが、
申し訳ないと言いますか･･･」
「も〜っ！寂しがり屋さんっ！！」
嬉々としてパソコンの準備を始めるオスマン。Aは戸惑いつつも、彼が準備しているのを見守っている。
「･･･こんなに、広いんですね」
周りを見回しながら、Aはボソッと呟く。
「皆で集まって、
ゲーム大会とかするんだよ」
「！そうなんですか？」
「うん」
ひとらんがAの傍に来てくれて、話をしてくれる。
「意外とクエストやって
お金余ってるから、
パソコンとか2台持ち多いんだよね。
Aは持ってる？」
「一応･･･ノートパソコン持ってます」
「じゃあ家に帰っても、
マルチ出来るかもね。
離れても一緒にゲーム出来るよ」
「･･･楽しそう、ですね」
「・・・！」
ひとらんの話を想像したのか、Aが微笑んでそう言った。その笑顔が普段のぎこちないものではなく、幼馴染だと言う彼に見せた様な、自然な笑顔をしていた。そんな笑顔を見て、ひとらんは目を見開く。
「Aちゃ〜んっ。
セッティングしたからおいでっ！」
「！は、はいっ」
オスマンに呼ばれて、Aは彼の方へ行く。
「基本操作は、WASD。
後はマウスで振り向いて＿＿＿」
「(・・・び・・・っくりした・・・)」
オスマンからの説明を受けるAを見ながら、ひとらんは口元を抑えてポカンとしていた。
「(まさかあんな、
へにゃって笑うとは思わないじゃん･･･。
まだ俺らには、
向けられないと思ってたから･･･)」
ひとらんがそんな事を考えていると、オスマンが笑顔を此方に向けて来る。
「(・・・あの一瞬で、
どうやって撮ったんだよ・・・)」
彼の手の中の携帯には、先程の笑顔のAが写っていた。
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作者名：桜華 | 作成日時：2022年12月1日 13時
