第132話 ページ37
「風邪ひかへんよ！そこまでやわな鍛え方しとらんしっ。や、やから使って？」
そう言うゾムは、不安そうで子犬の様な顔をしている。
「･･･ありがとう、ございます･･･。」
Aがお礼を言ってギュッとパーカーに包まると、ゾムはパァッと表情が明るくなった。
「(温かい･･･ゾムさん今まで着てたからかな･･･)」
「(つ、使ってくれとる･･･！しかも、ギューって、抱きしめて･･･！可愛ええ･･･！！)」
＿ゾムはAの隣で大人しく座っているが、内心Aの行動に心臓をバクバクさせていた。
「･･･じゃー俺はコレー。」
「んなっ！」
「！シャオロン、さん･･･？」
Aとゾムの様子を見ていたシャオロンが、Aの頭に自分のニット帽を被せた。
「どうしたんー？ゾムぅ。俺もA寒そうやから被せただけやで？」
「俺のパーカーあるから大丈夫やっての！！」
「寒いなら少しでもあっためるのがええやろぉ？」
「わざとやな！？」
ゾムはシャオロンに煽られて立ち上がり、二人で言い合いを始める。
＿Aを気遣ってか、多少声のボリュームは抑えているが。
「じゃあ俺はコレな。」
「！鬱さん･･･。」
鬱が何処からかブランケットを持って来て、Aの膝にかけた。
「女の子は脚冷やしちゃアカンからな？」
「(鬱さん、女性の扱い慣れてるなぁ･･･)ありがとう、ございます･･･。」
Aがお礼を言うと、鬱はニコッと笑った。
「はい、Aちゃんこれで暖とろうなぁ。」
そう言ってオスマンが、Aにマグカップを渡した。
「ホットミルクの蜂蜜入りっ。昼間にエミさんから貰ったやろ？」
「は、い･･･ありがとう、ございます･･･。」
Aはオスマンからマグカップを受け取り、少し冷ましてから飲んだ。
「んふふっ。人肌恋しくなったら呼んだら来るで？」
「オスマンー。ゾムと言うセコムが来るでー。」
「オスマンこらぁ！」
「いやーん、逃ーげよっ。」
トントンに言われた直後に、ゾムがオスマンに食ってかかろうとした。
オスマンはそれに気付いて、キャッキャとしながらリビングを出て行った。
「俺も行くね、お大事に。」
「ありがとう、ございます･･･。」
ひとらんは微笑んでAに言ってから、オスマンを追ってリビングを出た。
「･･･。」
どかっ
「わっ･･･？」
無言でコネシマがAの隣に座り、沈んだソファーにAは少し驚く。
「コネシマ、さん･･･？」
Aは不思議そうに、コネシマを見る。
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作者名：眼目夢子 | 作成日時：2021年10月15日 2時
