第94話 ページ46
「私は今の状況に満足しているんです。
貴方が私に対して『憐れだ』と言いましたが、
“私”を知らない貴方に何も言われる筋合いはないです」
＿ハッキリと猫面の男に言ったAは、真っ直ぐに猫面の男を見据えていた。
「前世がどうとか、
シャオロンさんが過去にどうとか、
私は何も知りませんし･･･
皆さん元々人外として生まれ落ちたかも、
元は人間で死後に人外になったかも、
私には分かりませんし･･･。
その人にしか分からない事を、
貴方の客観的思考で語らないでください」
ブワッ
「っ･･･！？」
突然強風が地面から巻き上がったかと思うと、猫面の男は透明な結界内に閉じ込められていた。
「生者の方はあの世に長く留まらない方がいいですよ。
私が送って差し上げます」
Aがそう言うと、結界が光り始める。
光り始めた影響か、猫面の男の姿が少しずつ見えなくなって行く。
「＿＿＿記憶がなくなっても、
“お前”はそっちに味方するのかよっ･･･」
猫面の男が絞り出す様な声で呟くと、結界と共に瞬間的に消えてしまった。
人気のない小道に、再び静寂が訪れる。
「(っ･･･“この世界”も、
崩れ始めとるんかっ･･･！？)」
鉤爪を元の人間の様な爪に戻しながら、シャオロンは先程の猫面の男を思い出して顔を顰める。
沢山の事を考えるが、興奮して怒っていたからか、考えがまとまらない。
「･･･シャオロンさん」
「！あっ･･･」
Aが、昨日の様に優しい笑みをシャオロンに向ける。
その笑顔に、シャオロンはハッとして考えていた事が真っ白になる。
「･･･私、前世の事とか知らないんですけど･･･
私は、シャオロンさんの知っている人ではないですし･･･
それでも、友人でいてくれますか･･･？」
そう訊ねるAは微笑んでいるが、その目は不安の色に染まっていた。
「・・・っそんなん、当たり前やんっ･･･。
怒ってくれたら、良かったんにっ･･･
嫌やろ･･･知らん奴と自分重ねられとったら･･･」
シャオロンが眉を顰めながら苦笑すると、Aは首を横に振った。
「初めて出来た友人なんです。
どんな事があろうと、
私は皆さんと友人でいれたらそれだけで幸せです。
･･･しんぺい様位しか、
人間の私に優しく接してくれる方はいなかったんですから」
「っありがとぉ、Aっ･･･！！」
シャオロンは嬉し涙を流して、Aを抱きしめた。
Aも優しく、背中に手を回した。
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眼目夢子(プロフ) - 冬野さん» コメントありがとうございますっ！す、好きと言っていただけてとっても嬉しいです！！応援ありがとうございますっ！！もう少し続きますので、お楽しみに･･･！！ (2022年2月12日 4時) (
レス) id: cd5f0ffb10 (このIDを非表示/違反報告)
冬野(プロフ) - えっｯｯｯｯｯｯｯｯ、神？前々から拝見しておりました好きです応援してます（早口） (2022年2月12日 3時) (レス) @page50 id: d428e74894 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：眼目夢子 | 作成日時：2022年1月31日 1時
