第67話 ページ19
しんぺいに退室を命じられたAは、自室でしんぺいが置いてくれたであろう本を読んでいた。
読んでいるのは、“この世”にある小説。
現代の人が書いたらしい、彼らの言う“幽霊”が出て来る様な小説だ。
「･･･そんなに恐ろしいものなのかなぁ、
人外の方々って･･･」
Aは読んでいた小説に栞を挟んで、ポツリと呟く。
「･･･外してもいいかな･･･」
また呟き、Aは首に着けていたチョーカーを外した。
＿Aの首には、鎖の様なアザが刻まれていた。
今まで微かに痛み続けてはいたが、その痛みに慣れてしまったAは、新しく出会った人外達にその事を話していない。
「(今日は大丈夫そうだな･･･)」
Aはそう思いながら、そっと首に触れる。
グルッペンに言われた、『邪気を祓わないと身体に悪影響を及ぼす』。
確かに悪影響は及ぼすが、彼は“生者であるから”だと考えているだろう。
だが理由は違う。
邪気が身体に溜まり続けると、このアザが全身に広がって行くのだ。
今は巫女服等で隠れているが、この鎖の様なアザは首以外にも広がっている。
両腕、両脚にもあるのだ。
そしてAが邪気を取り込み続けたり、無茶な事をする度にジワジワと広がっている。
数回、部屋の扉がノックされる。
『Aちゃん？』
「･･･しんぺい様？」
扉の奥から、しんぺいの声が聞こえる。
『ちょっと開けて貰ってもいいかな？
手が塞がってて』
困った様な声が、奥から聞こえて来る。
「･･･しんぺい様」
『Aちゃん、開けてくれないかな？』
「･･･今開けますね」
『！うんっ、お願い』
Aは立ち上がり、本を置いて扉の方へ歩く。
「･･･開けますね」
Aは扉の前に行き、ゆっくりと扉を開けた。
「＿＿＿まあ、分かってましたけど」
『ギュイ！！』
＿Aは素早く御札を取り出して、黒いモヤの様なモノに貼り付けた。
モヤの様なモノは悲鳴を上げて、ピクピクとその場に崩れ落ちた。
「全く･･･私に憑いて来たんですか？
隠れるのはお上手ですが、
神様もいるし悪霊退治屋の私がいるのに･･･
私の魂は喰らえませんよ」
崩れて消えて行くモヤに対し、Aは冷たい目を向けながらそう話しかけた。
完全に消えるまで見守り、Aはまた自室に戻った。
「(･･･こんな“呪い”のせいで、
最初からしんぺい様には迷惑をかけてばかりだなぁ･･･)」
Aは少しだけ、アザが痛んだ気がした。
ソッと首を撫でると、その痛みは少しずつ治まった。
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眼目夢子(プロフ) - 冬野さん» コメントありがとうございますっ！す、好きと言っていただけてとっても嬉しいです！！応援ありがとうございますっ！！もう少し続きますので、お楽しみに･･･！！ (2022年2月12日 4時) (
レス) id: cd5f0ffb10 (このIDを非表示/違反報告)
冬野(プロフ) - えっｯｯｯｯｯｯｯｯ、神？前々から拝見しておりました好きです応援してます（早口） (2022年2月12日 3時) (レス) @page50 id: d428e74894 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：眼目夢子 | 作成日時：2022年1月31日 1時
