第60話 ページ12
ひとりでに回り出したダイスが、ピタッと止まった。
「･･･35、ですよ？」
シャオロンはダイスを見て、むつーにおずおずと訊ねる。
「おや、成功。
じゃあ弟子であるシャオロンさんに教えてあげようか」
むつーはそう言って、シャオロンの耳に囁く。
「＿皆には、沢山の“前世”がある」
「・・・っえ・・・？」
シャオロンは目を丸くさせて、離れたむつーを見る。
「ぜ、前世･･･？
俺らは元から人外で･･･」
「元から人外じゃない。
全員元々は“彼女”と同じ人間だったんだよ」
シャオロンの言葉を遮るように、むつーは微笑んだまま話す。
「ど、どういう･･･？
そんな、俺らが人間やったとか･･･」
「“忘れさせられてる”んだよ、皆。
まあ何人かは思い出したりしてるみたいだけど･･･
僕はこんな、
運命を司る神様になれたからかな？
記憶がある頃からずーっと、ずーっと、
皆の動向を見守り続けているんだ。
それこそ、神様としてね？」
むつーが話す事を、シャオロンは呆気に取られながら聞いている。
ついには、足が止まってしまう。
「＿シャオロンさんなら、
きっと思い出せる筈だよ。
なんせ僕の弟子なんだからねっ？
･･･思い出して･･･
“彼女”を、救ってあげて、シャオロンさん」
そうシャオロンに言ったむつーは･･･＿＿＿
何故なのだろうか？
泣きそうな顔で微笑んでいた。
「(・・・何を、
俺は・・・俺らは、忘れてる・・・？)」
シャオロンは自分の手の中でダイスが回り出すのを感じながら、目を見開いてむつーを見続ける。
「(むつーさんが、嘘を言っている様には見えない。
やったら、本当に・・・？)」
『＿＿＿＿・・・ごめんね』
「(っ・・・？誰や・・・？
お前は、誰なんやっ・・・？)」
頭が痛み、頭を抑える。
頭の中では、誰かの声が響いた。
「・・・シャオロンさん？」
「！あっ・・・？」
いつの間にか目の前まで来ていたAが、シャオロンを不思議そうに見上げている。
シャオロンは我に返って、Aを見下ろす。
「どうしたんですか？
何か顔色が悪いですけど･･･」
「･･･何でもあらへんよっ！
美味しいお菓子はよ食べたいな〜って」
シャオロンはパッと笑顔になり、Aにそう言った。
「そうですね。
とても美味しい場所らしいので、
早く行きましょうか」
Aは微笑み返して、シャオロンの手を引いてあげる。
シャオロンはそのまま、Aの手を握り返した。
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眼目夢子(プロフ) - 冬野さん» コメントありがとうございますっ！す、好きと言っていただけてとっても嬉しいです！！応援ありがとうございますっ！！もう少し続きますので、お楽しみに･･･！！ (2022年2月12日 4時) (
レス) id: cd5f0ffb10 (このIDを非表示/違反報告)
冬野(プロフ) - えっｯｯｯｯｯｯｯｯ、神？前々から拝見しておりました好きです応援してます（早口） (2022年2月12日 3時) (レス) @page50 id: d428e74894 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：眼目夢子 | 作成日時：2022年1月31日 1時
