【wrwrd】無表情な彼女の戦闘物語【あかがみん】【日常組】【pkt】【^ら^】 (ページ44)

今日:41 hit、昨日:4 hit、合計:138,595 hit

第41話ページ44

「よしっ。ありがとうマンちゃん。」
「ホンマに身体全体傷だらけやったなぁ。」
　空き部屋のベットにAを寝かせた、しんぺい神とオスマン。
Aの身体全体には包帯が巻かれたり、湿布が貼られたりしている。
「･･･何で魔法使わなかったん？」
オスマンは不思議そうに、しんぺい神に訊ねる。
「動けなくなれば、その間に無理矢理にでも引っ越し出来るでしょ？
　グルッペンが逃がすつもりないし、協力しなきゃね～。」
そう話すしんぺい神は、ニコリと口元は笑っていた。
しかし雑面の下に隠れている目は、何処か恐ろしさが感じられる目をしていた。
「もー、ペ神怖いっ。」
「マンちゃんだって"可愛がる"の好きなクセに。」
「何の事か分からないめう～。」
そう答えるオスマンの瞳は、何処か曇っていた。

「二人共～。Aちゃんどうなっとるー？」
「！大先生。」
　空き部屋に、片付けをサボりに来た鬱がドアから様子を覗きに来た。
「魔法は使わなかったよ。薬でも治るからさ。」
「ふーん。」
しんぺい神の話に適当に反応して、吸っていた煙草を出現させた泡に入れて吸い殻ごと消した。
「どうしたん？大先生。女の子やから気になるん？」
「まぁ、そんなとこ。」
鬱はオスマンに返事をしながら、Aが寝ているベッドの傍でしゃがんで、眠っているAの様子を黙って見始める。
「大先生、今回はグイグイ行かないんだね？
　いつもなら気になった子がいればグイグイ行くのに。」
「んー･･･何やろうな･･･。そんな気になれへんのよ。
　何となくAちゃんが元はどんな事なってたかは傷が見えた時から分かってたし･･･
　今まで出会った子やないから、行けへんねん。」
鬱にいつもの煩さはなく、静かに、悟る様に、Aを見ながらしんぺい神とオスマンに話した。

「･･･変な大先生っ。」
オスマンはそう呟いて、部屋を出て行った。
「大先生、まだAちゃんの様子見てる？俺薬とか作りに行くんだけど･･･」
「ん、俺看てるわ。飯の時間なったら二人分飯持って来て貰ってもええ？」
「ん、分かった。」
しんぺい神は鬱に返事をしてから、部屋を出て行った。

「・・・。」
　静かになった部屋の中で、鬱はジーッとAを眺めている。
Aは規則正しい寝息を小さくたてているが、隈が濃い為とても不健康に見える。
手には手袋がはめられておらず、代わりに包帯が巻かれていた。
「(･･･何でこんなに、気になるんやろ･･･心配やねんな･･･)」