【wrwrd】無表情な彼女の戦闘物語【あかがみん】【日常組】【pkt】【^ら^】 (ページ17)

今日:9 hit、昨日:4 hit、合計:138,563 hit

第14話ページ17

グルッペンの突然の提案に、流石のAも気の抜けた声が出る。
「グルさんグルさん。」
「ハイハイなんでしょ。」
トントンに声を掛けられて、グルッペンは笑顔でトントンの方を見る。
「何で新入生を入学早々戦わせようとしとるん？」
「いいじゃないか！"得意魔法"が分かり、すぐにCランクに上がれるかが分かるゾ！」
「そう言う問題やない！！」
キャッキャと笑っているグルッペンに、トントンは頭を抱える。

「･･･あの･･･。」
Aが小さい声でグルッペンに話しかけると、グルッペンとトントンは其方を向いた。
「私･･･戦闘、出来ないです･･･。」
「ほらぁ。誰もがアンタやゾムみたいな戦闘好きやないんやって。」
「戦闘専門でないにしろ、防御魔法が出来るだろ？」
「防御魔法はこれからちゃんとしたの習うんやで？」
「む、そうなのか？」
「あんさんと違うのー。」
キョトンとするグルッペンに、トントンは母の様な口調でそう言った。

　「でもさー、実戦せんと分からへんくない？」
緑パーカーの男は、口の端に付いた食べカスを取りながら、グルッペンとトントンに訊ねた。
彼の傍には食べたであろうハンバーガーの包み紙が、10枚程丸めて積み上がっていた。
　「どうせ誰もグラウンド使ってへんやろ。俺やりたい！」
「話聞いてた？お前とグルッペンは強いの。新入生相手に荷が重すぎる。」
　「えーっ。俺戦いたいー。」
「駄目やって。」
トントンが宥めるが、緑パーカーの男は口を尖らせている。

「(･･･書記長さん･･･苦労人なんだろうな･･･)」
Aはトントンと緑パーカーの男のやり取りを、ボーッと眺めている。
「･･･とにかく、俺とこの人で戦えばグルッペンさんもコネシマさんも納得するのでは？」

　ふわっ
「！」
「ショッピくん！？」
Aは煙にお腹辺りを"掴まれて"、宙に浮き上がる。
「俺も身体動かしたかったんで、食後の運動がてら行って来ますわ。」
「ショッピくん！？普段君見てる側よねぇ！？今日に限ってやる気なの！？」
「そうっすね。」
ケラケラと笑うショッピに、トントンはまた頭を抱える。
「という事で、うちの総統様が満足するまで相手してください。」
ショッピは悪い笑顔をしながら、Aにそう言った。
「(･･･これ、拒否権なさそう･･･)」
Aは引く様子のなさそうなショッピを見て、諦めて頷いた。

「じゃあ行って来まーす。」
そう言うとショッピは、煙とAと共に窓の外へと乗り出した。