SLH【短編集】

KARASU 浮気 Part2 【リクエスト】 ページ37

K side

K「…やだ、行かないでっ」

泣かせるつもりやなかった…別れるつもりもなかった
ただ、Aに無理をさせたくなかった

A「大好きだったよ」

そう言って荷物も持って出ていくA

K「やだ！置いていかないで！」

パタン…家の玄関のドアが閉まる

K「やだっ、A…っ」

俺の欲にあの子がついてこれるわけない…あんなに小さくて可愛い子が…

だから他の子で欲を満たしてた
でもそれがAを苦しめていたなんて…

K「…っ、ｽﾞｽﾞｯ」

泣きたいのは俺じゃない…Aやんな

追いかけたいけど…追いかけてどうする…
拒まれたら？余計に嫌われたら？

ううん…そんな事どうでもいい
今はそんな事なんかどうでもいい…
Aに言わなくちゃ！

K「A！」

上着と携帯と財布と家の鍵を持って家出る

まだそんなに遠くまで行ってないはず！
全部！全部言う！
引かれもいい！バカにされてもいい！
早く、早くAに会いたい



A side

家を飛び出してからどれくらい経ったのかな…
私どこに行くのかな…
両親は事故で他界してるし兄妹なんていないし
友達もこっちにはいない

A「私って何も無いんだなぁ」

ボソッと呟いて下を向く
涙がまた溢れる

A「っ、たーくん…」

何でこうなっちゃったの…たーくん、なんで…
会いたい…会いたいよ

A「…助けて、たーくん」

私は立ち止まりしゃがみこんでしまった
幸いこの時間は人が少なくジロジロ見る人はいない

A「会いたい…会いたいよぉっ…」

帰りたい…浮気されててもいい…
またあの笑顔を向けられたい…ただいまって言われたい…大好きって…

都合のいい女でいいから…今度は何見ても何も言わないから…面倒臭い女にならないから…

A「…ｸﾞｽｯ」

？「Aー！」

A「！？」

この声は…この少し幼さが残る低めの声は…

K「Aー！どこや！」

たーくん…なんで来たの…
私なんか放っておけばいいのに、なんで…

K「A…げほっ！」

喉の調子、まだ戻ってないのにそんなに叫んだら悪くなっちゃうよ…

K「っ、A…戻ってきて…おねがいっ、」

泣いてる…泣きたいのはこっちだよ、ばか

K「…ｸﾞｽｯ」

A「…たーくん」

K「！！」

声をかけると勢いよく顔を上げる

K「A！」

A「…なに、してるの」

K「ごめん、！」

A「それは、何に対して？」

K「全部…今から話すこと、聞いてくれる？」

A「わかった…」

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