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「……A」
息を整えながら、先生が私の名を呼んだ。今のキスは何だったのかと問いかけるように。
……ずるい。わかっているくせに。
私は息を深く吸って、細く長く吐いた。
「先生、私は……もっと触れてほしいです」
体を離して、見上げる。きっと顔は真っ赤だろうし、すごく恥ずかしかったけれど、ちゃんと目を見て言いたくて、彼をまっすぐ見つめた。
「──先生のことが、好き……みたいだから」
そう告げると、先生の綺麗な瞳が大きく見開かれる。しばらく沈黙が続いて、「先生?」と声をかけた途端、彼はハッと我に返ったように口を開いた。
「よもやよもやだ!それは望外だな!」
大きな声で言った先生は、「ハハ」と破顔して、そっと口付けてきた。顔を綻ばせながら何度もキスをしてくる先生に、私はストップをかける。
「せんせ……ちょっ…と…」
「すまない!つい!」
先生は、晴れやかにまた笑った。その笑顔があまりにも美しくて、可愛くて……心臓がドクン、と跳ねる。
「では、約束を果たすとしよう」
「……え?」
「前に言っただろう。俺が好きなら、すぐにでも君を抱く!」
「あ……えと、ここで?」
「まさか。流石にまずいので俺の家に行こうか」
躊躇っていれば、先生はすぐに私の手を引き、ガラッと大きな音を立てて扉を開けた。
廊下に出た瞬間、パッと放される手。先生が私の耳に顔を近づけて小声で言った。
「A、好きだ。たまらなく──」
聞いた途端、顔にかーっと熱が集まるのを感じた。
頬を両手で押さえている私に、「裏門で待っていなさい」と囁く先生。
彼の後ろ姿を茫然と見つめながら、未だ激しく音を立てている胸に、そっと手をあてた。
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彩乃(yumeko)(プロフ) - 愁さん» 愁さん、こんにちは!コメントありがとうございます!最後まで最高でしたか(*´∀`*)初ヤンデレだったので、そう言ってもらえてめちゃくちゃ嬉しいです(*´-`)次の話も今書いている途中ですので、是非またいらしてください(-´∀`-) (2021年5月14日 12時) (レス) id: 555a9d3211 (このIDを非表示/違反報告)
愁(プロフ) - yumekoさん!お久しぶりです。やーっと読みに来れました(*^_^*)最後まで、最高のヤンデレでしたよー!!ありがとうございました!! (2021年5月14日 5時) (レス) id: 698f8cda36 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃(yumeko)(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» わぁぁ、よもやよもやだ!杏寿郎からコメントいただけるとは(*´ω`*)ありがとうございます!凄かったですか!笑 次はね、またキョウジュロなんです(>_<)優しいキョウジュロなので、ヤンはひとまず休憩します(笑 また是非来てください(-´∀`-) (2021年5月8日 12時) (レス) id: 555a9d3211 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃(yumeko)(プロフ) - 奏海さん» 奏海ちゃん!(>_<)コメントありがとう(-´∀`-)わぁ、そう言ってもらえてめちゃくちゃ嬉しい(*´-`)カッコ良すぎるだなんて(照)炭治郎はライバルにするとあかんね(笑 いい子過ぎて!次は宇髄さんも出るのでどうぞよろしくお願いします(^^♪ (2021年5月8日 12時) (レス) id: 555a9d3211 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - よもや!よもやだ!完結おめでとうだな!凄かったぞ!ヤンデレの俺か・・・・・・、うむ!次は冨岡の描いて欲しいと思っているが次のも楽しみにしてるぞ!最後に完結おめでとう!これからも心を燃やして責務を全うしてくれ!炎柱、煉獄杏寿郎でした!またな! (2021年5月8日 9時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩乃 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yumereiao519
作成日時:2021年3月17日 21時