利休鼠 ページ40
黒兎Side
“ソレ”に気付いたのは、偶然だった
「だっから俺マフィアのボスになるんだって〜♪」
あれから、2年前と同じになって
たまたま移動教室で通りがかった時に2年の教室から聞こえてきた彼の声
彼はいつも通り、馬鹿を演じていたけれど
その演技が、どこか精彩を欠いていた
そして、じっと観察してみれば脇腹辺りを庇っているようにも見える
「クロちゃん?授業始まっちゃうよ??」
「あ…うん、今行く」
珍しくどこか怪我でもしたんだろうか…?
そう推測しつつ、すぐにみずきの声に答え、その場を離れる
だって、もう俺はロンシャンの同志じゃない
元々怪我をしたから手当てしたり慰めるなんて関係でもない
だから関わらない。関わる必要がない。傍に近寄っても何の得もない
“一緒”だったのは過去の事
“同類”だったのも過去の事
そして、互いが互いの“理解者”だったのも―――過去の事
――だから、このままでいい
そう、何度考えても結論は変わらない
「……」
なのになんでだろう?
どこかスッキリしない自分がいて
「……ねぇ、みずき」
「ほぇ?」
気が付けば、俺はみずきに向かって口を開いていて
「もし、誰かに…“理由”がないから関わるな…って…もう“意味”がないから傍にいるな…って言われたらどうする?」
みずきからすれば、きっと訳の分からない言葉を言ってしまっていた
「ん〜…一番は寂しいかなぁ」
「え…?」
でも、みずきは
俺のそんな変な質問に、予想外な答えを返してきた
「私もね、昔ザン兄に言われたことあるんだ。目障りだからお家に来ないで、って」
「えっ!?」
な、なんかサラッと俺より凄いこと言われてる気が…
「言われた時はやっぱり悲しかったけど…でも一番はもうザン兄と一緒にいられなくなるのが寂しいって思ったよ」
寂し、い…?
「それでもザン兄は意味もなくそんなことを言う人じゃないし…だから、来るなって言うなら待とうって思ったんだ!ザン兄が会いに来てくれるまでっ」
「それで…本当に何年も待ってた…んだよね?」
「うんっ!だって、ザン兄と一緒に…同じ世界を見たかったんだもん!そのためならなんとか我慢できたんだっ」
「そ…っか…」
同じ世界…か
みずきの言葉に、俺は窓枠に切り取られた青空を見た
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アオイ(プロフ) - actさん» ありがとうごじあます！あ、はいその通りです！EDの「すべり台」を元ネタにしてます！ (2015年5月31日 8時) (
レス) id: 514c05d317 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - レナさん» 案外、長期的に構える姿勢かもしれませんｗ (2015年5月31日 8時) (レス) id: 514c05d317 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - 令さん» そうですね、作者も売ってほしいですｗ (2015年5月31日 8時) (レス) id: 514c05d317 (このIDを非表示/違反報告)
act(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます。この写真企画ってもしかしてアニメのエンディング(だったかな？)にちなんでます？あの、写真がいっぱい出てくる (2015年5月30日 20時) (レス) id: 8d5d47ef97 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - ザンザスも、もう「ザンザス」って呼ばすのあきらめてるし(ｹﾗｹﾗ (2015年5月30日 17時) (レス) id: 4fb655bc62 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アオイ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/yumenusi202/
作成日時：2015年2月28日 23時
