影の少女は笑わない【黒子のバスケ】 (ページ13)

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「未来……。なんて見える筈が無いでしょう。
私は、情報を得て予言するだけです」

そう言ってすたすたと、鶯崎の元に戻る夜影。
赤司は、この発言で更に夜影に興味を持った。

そして練習開始の笛が鳴る。

休憩の合間合間に見ていて思ったが、夜影はマネージャーの仕事を経験していたのか、丁寧で素早い。合図は選手がやりやすいタイミングで鳴らし、床もモップ掛けで綺麗になっている。
さらに、赤司に「あの人、体調が悪そう」などと言ったことを瞬時に教えてくれた。

「何か、あの夜影って子凄いわねぇ。征ちゃんが見つけてきたの？」
「ああ僕もこれほどまでとは思わなかったよ」
「なになにー、なんの話～！」

しまいには、会って初日で大半が「夜影は凄い」と言い出す程だった。

しかし、夜影程では無いが鶯崎も初めてにしては中々出来ていた。
ボールを直ぐ様取って選手に渡し、持ち前の笑顔で応援。
タオルもきちんと畳み、怪我の処置も簡単なものだったら進んでやっていた。

凄いを通り越して、逆に不気味。

もう既に辺りは暗く染まり、星もちらほらと見え出してきた。
練習は終わったものの、体育館はまだ明かりが付いていた。

赤司は着替えが終わり体育館を覗いてみる。
選手は誰一人として居ないが、代わりに夜影と鶯崎の二人がいた。

「どうしたんだ文、A」

声を掛けると、鶯崎が赤司の方に勢いよく顔を向けた。
対して夜影は無反応。一ヶ月いた赤司にとってこれは慣れていた

「何にもないよ、少し綺麗にしていただけ」
「そうか」

「赤司」と夜影に呼ばれた。

「実渕って人、フォームが若干崩れてきていた」

手帳の様な物に書き込みながら夜影は言った
赤司でさえも注意して見なければ、見えない所を見ていたのかと息をつく。

「凄いね、Aは！」
「全くだ」

暫く談笑していると、鶯崎がふと

「大会でもあるの？」

と聞いてきた。

「WCというものがある。冬の大きな大会さ」

「そうなんだ、３年生がいたから気になっててね」

鶯崎はスッキリした様子でモップ掛けを始めた。