影の少女は笑わない【黒子のバスケ】 (ページ12)

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少しずつ空が紫みを帯びてきた時間帯。
まだ私は学校に残っていた。
それは勿論、洛山高校バスケットボール部のマネージャーとなったからだ。

「二人共、こっちに来てくれ」
「はい」

目の前を行く先輩に着いて、広い体育館を歩く。
流石、全国一位。入った瞬間から、私には場違いだと感じる

「今から二人には、仕事を手伝って貰う。
内容は、見て覚えろ」

マネの仕事は時間が大事だった
ボトルに水を入れ、あちこちにあるボールを取って、タイムを計り、合図を出し、タオルを畳む。
それと、汗で光る床をモップがけ。選手の様子を見ながら、ボトルを渡す。

「うわぁー。大変だねぇ、マネって」

でも遣り甲斐がある！文は休憩の合間に私にこそっと言った。
確かにまだ初めましてだから、中々信用してもらえない。
でも慣れてくると、文も楽しいと言い出すだろう

「……少しいいか？夜影」

壁にもたれていると、樋口先輩が私に話があると言ってきた。
頷き、体育館の角のほうに行くと、赤司、それに監督らしき人がいた。

「………何か不手際でも有りましたか」

「いや、お前の仕事ぶりには驚いた。
正直、俺よりも経験があるだろ」

「ああ僕もだ。A」

こんなに褒められるとは思ってなかった。

「そうですか。それは良かったです」

それでは、ペコリとお辞儀をして立ち去ろうと思ったのだか、それはできなかった。

「何でしょうか、話は終わっ……」

「ってない。
私は白銀永治、洛山の監督をしている」

「はぁ」

思いの外、間抜けな声が出てしまった。

「夜影、君は未来が見えるのか？」

何言ってるんだ、この監督は…。

「赤司が言っていたのでな」

お前が元凶か赤司。

「未来……。なんて見える筈が無いでしょう。
私は、情報を得て予言するだけです」

目をぱちくりする監督を横目に、私はすたすたと文の元に歩くのだった