傍観者でいたかった【D.Gray-man】8

324.優しい横顔 ページ29

リナリーside








リ「神田、大丈夫？」



神「あぁ」





あれから




色々あった






Aが死んで





結局なんでプラントの卵を破壊したのか
ちゃんとした理由を知ってる人は誰も居なかったから




ルベリエ長官は激怒していて





でもそれでも





Aが意味もなく
そんなことをするわけがないって
みんなわかっているから




文句をいう仲間は誰も居なかった





Aの使っていたイノセンスは
へブラスカに回収され




Aも手厚くおくられた





色々バタバタしていたせいで
落ち着いた今頃になって





悲しみが襲ってくる






今は任務に向かう列車の中







神田はAが好きだったのに
泣いてるところも
落ち込んでるところも一切見ない







リ「神田はさ、、、
Aの過去を見たとき、どう思った？」






一度聞いてみたかった



AKUMAだったとは言え
Aを殺していた神田は




どれだけショックだったんだろう






神「、、、あいつは

俺に話すのを極端に嫌がっているような
表情をすることがあった

だから納得した」





リ「だからアルマみたいに取り乱さないで
受け入れたってこと？」








窓から外を眺める神田は
私のほうを見ようとはしない




きっと





見られたくないような顔になってるんだろうな








神「過去を見せた後
Aは悩んでいた

教えてよかったのかってな」







リ「そう、、、かもね」






今まで自分がしてきたことに
一つも間違いがなかったかと言われると




私だって悩む



間違いなんて気づいていないものも含めれば
数えきれないくらいあるだろうし




Aはこれからのことを知っていて
極力間違えないように



じっと神経をすり減らしながら
私たちのことを思って行動してくれていた





それがわかっていたからこそ
神田はきっとなにも言えなかった





神「結果はどうあれ
Aらしい生き方だったんじゃねぇか」






リ「たしかに、Aらしい
強い芯の通った生き方だったね」







Aは自分のことを
弱い人間だと言ってたけど






私はA以上に強くて優しくて暖かい人
見たことがないよ






リ「今頃たまってた疲れが一気にきて寝てるかもね」




神「そうだな」






相変わらずそっぽを向いてる神田だけど




汽車の揺れでたまに髪の隙間から見え隠れする表情は
悲しそうなのに優しく笑っていた









fin.

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