四 ページ9
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「ハルナっち〜！……と、Aっち？！」
元気よく、まるで子犬のように腕を尻尾のように振りながら、こちらに駆けてくる彼は、春名と彼女のことを交互に何度も見返した。二人が一緒にいるのが、珍しいのか目を見開いている。何だか、勝手にもう負けた気分だ。
そういえば、前に彼女が倒れた時に春名か看病していたことを思い出す。何故こんなところに彼女がいるのか、と問いても答えを曖昧にしてなかなか教えようとはしなかった。何か隠していることがあるのか、仮にこの二人が付き合ってたとしたら、この前の彼女の言葉の意図が益々分からなくなる。
何か用事でもあったのか、と春名に聞かれたが、まさか彼女に用事があるなんて、口が裂けても言えない。
すると、勘のいい春名は何かを察したのか急に「あーー俺、忘れ物しちゃったから取リ戻らなきゃーー」とバレバレの演技をし始めた。自分の隣を通るときに、ぼそっと「がんばれよ」なんて声をかける。いい人すぎて、自分が惚れそうである。
いざ二人きりになったものの、何を話せばいいか分からず謎の沈黙が続く。今までそんなこと考えたこともなかったから余計に恥ずかしさが増してくる。
「ねぇ、伊瀬谷くん」
「は、はいっす！！どうしたんすか？」
突然名前を呼ばれて、どきりと心臓が高鳴った。よくカラオケを一緒に行く女の子より、何倍も落ち着いたその可愛らしい鈴のような声。心の内側が擽られるような、そんな感覚にまだ慣れない。
「次のライブ、いつ？」
「ライブっすか？」
彼女のためなら、いつだって歌ってあげられる。ライブに来てくれるのも、もちろん嬉しいのだが出来ることならば、自分を見てほしいと思うのだ。
「伊瀬谷くんの歌好きなの」
きっと、これ以上幸せなことはないだろう。好きな人に自分が一番好きなことを褒められるなんて、夢みたいなこと。彼女から見たら、自分の顔は今真っ赤になっているに違いない。
「あっ、じゃあAっち！」
どうせなら、今自分の歌を彼女のためだけに。聞いてほしい人がいるから、届いて欲しい気持ちを歌に乗せれば言えるかもしれない。自分の歌が好きと言ってくれた彼女に、恥ずかしげもなく想いを伝えるにはこれしかないと確信した。
「カラオケ、行くっす！」
驚いている彼女の手を引いて、走り出す。
笑う彼女の顔を見たら、何だか自分まで嬉しくなってつい笑みが溢れた。やっぱり、好きだな、なんて。
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oliver sakura(プロフ) - 四季くんが可愛くて、とても楽しんで読ませていただきました！ (2018年12月27日 5時) (
レス) id: 10d3582e90 (このIDを非表示/違反報告)
絢 - アニメ始まってからMマスには本当にはまってて・・・こんなすばらしいお話が見れて幸せです！次もがんばってください！楽しみにしてます！ (2017年12月11日 18時) (レス) id: fc580346b2 (このIDを非表示/違反報告)
絢 - 初めまして、絢（アヤ）といいます! (2017年12月11日 18時) (レス) id: fc580346b2 (このIDを非表示/違反報告)
ままこ(プロフ) - 若葉松ガールさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえると本当に嬉しいです(；＿；)頑張ります！ (2017年12月7日 18時) (レス) id: dd2edfbc4c (このIDを非表示/違反報告)
若葉松ガール(プロフ) - 完結おめでとうございます！私も最近Mマスにハマりました！1番好きな四季くんの小説が見れてすごく嬉しかったです(*^^*)次の作品も楽しみに待ってます！！ (2017年12月1日 16時) (レス) id: 2308de6ede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ままこ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年11月14日 20時
