▽ ページ2
･
入学式から何週間か経ち、クラスも落ち着いてきた。
女子は、誰がどこのグループの人で、誰がこういう性格で面倒だ、とか大体分かる。隣の席の彼は、軽音部に所属したからなのか、それとも単純に人気者なのか、何れにせよあっという間に友人を増やした。歌が上手いらしく、いつも彼をカラオケに誘う声が聞こえる。特技は、カラオケの点数を意のままに出せるのだとか。歌が上手いならば、軽音部に所属していても納得である。
そして、入学式の日から彼はよく、隣の席の彼女に手紙を投げてくるのだ。大体、「眠い」「暇」の二つなのだが毎日懲りないものである。
数学の時間、またもや紙切れが投げられてきた。すると、「もうすぐ体育祭っすね！Aっちは何でるんすか？」といつもと違うことが書かれあり、何だか珍しいなと思い彼女も、いつもと違う返しをしてみた。こんな小さな秘密事が、何だか少し当たり前になって、楽しくなってきている。
眠かった数学の授業を終え、待ち望んでいたお昼ご飯である。同じ中学である友人と、食堂に向かった。今日の気分は、唐揚げ定食である。
「ねぇ、Aって伊瀬谷くんと付き合ってるの？」
「は、え？」
まさかそんなことを聞かれると思わず、ぽろりと箸から唐揚げが落ちていく。キャベツの海へダイブした唐揚げは、ころりとトレーの上に転がった。
「だって、授業中とかいっつも仲良さそうだし」
「あれは伊瀬谷くんが、手紙投げてくるから返してるだけだよ」
そう真実を答えても、友人は不服そうに口を尖らせる。彼に対して、特に恋愛感情など抱いておらず、隣の席であるという関係に変わりはない。ただ少し、仲の良い男友達という認識もあるかもしれないが。女子というのはこうだ、特定の男子と仲がいいと、すぐに関係を疑ってくる。男子との友情くらいあってもおかしくないだろう。
しかし、彼女の頭の中からその質問がこびり付いて離れそうになかった。
きっと、彼も仲の良い隣の席の人としか思っていないだろう。それ以下でもそれ以上でも何でもない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 89人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
oliver sakura(プロフ) - 四季くんが可愛くて、とても楽しんで読ませていただきました！ (2018年12月27日 5時) (
レス) id: 10d3582e90 (このIDを非表示/違反報告)
絢 - アニメ始まってからMマスには本当にはまってて・・・こんなすばらしいお話が見れて幸せです！次もがんばってください！楽しみにしてます！ (2017年12月11日 18時) (レス) id: fc580346b2 (このIDを非表示/違反報告)
絢 - 初めまして、絢（アヤ）といいます! (2017年12月11日 18時) (レス) id: fc580346b2 (このIDを非表示/違反報告)
ままこ(プロフ) - 若葉松ガールさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえると本当に嬉しいです(；＿；)頑張ります！ (2017年12月7日 18時) (レス) id: dd2edfbc4c (このIDを非表示/違反報告)
若葉松ガール(プロフ) - 完結おめでとうございます！私も最近Mマスにハマりました！1番好きな四季くんの小説が見れてすごく嬉しかったです(*^^*)次の作品も楽しみに待ってます！！ (2017年12月1日 16時) (レス) id: 2308de6ede (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ままこ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年11月14日 20時
