気付いて。 ページ13
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「好き」が拗れて、形になる。
そんなことなんて、有り得ないと思っていたのは三日前の話。実際、今彼女は「好き」を形にしてしまっているのだ。
初めて吐いたのは一ヶ月前、彼に好きだと伝えられないもどかしさと、苦しさと、自分の情けなさに感情がぐちゃぐちゃに、掻き乱され、吐き気がした。人を想うことで、吐き気がするなんて随分と、拗れたものだと思っていた。目の前に落ちた花を見るまでは、そう感じていたのである。
花は、自分の意志とは関係無く、想いを吐き出す。こんなのを誰かに見られたら、たまったもんじゃない。だが、学院へ行かず家にいても、彼に会えないだけである。それも、花を吐く原因になりかねない。
「貴様、何をしている」
「花、吐いたの」
今日の花は、昨日の花は、調べているうちに自分の中にある彼への想いが明確になってきた。花の意味を彼に知られたら、どう思われるだろう。きっと、引かれてしまうかもしれない。彼のことを想ったといっても、花なんか吐かれたらただの迷惑である。また自分の想いを塞ぎ込んだ。瞬間、喉の奥が突かれたような痛みに襲われ、口元から花弁が落ちる。
ひらり、ひらり、彼への想いを消すかのように儚く。
「花を吐いたなんて、何を言ってるんだ」
「見ればわかるでしょう、花だ…っ」
彼に説明をしている間も、彼女は想いを吐き続ける。こんな姿見られたくもないのに彼の前に立つと、想いが溢れる。仕方ない、これも全て「好きだから」
何て言えば、きっと笑われてしまうだろう。
この苦しい感情は、どうしたら楽になるのか。そんなのは、自分が一番分かっている。だが、やっぱり気づいて欲しくて、こっちを見て、と言いたくて。
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作者名:合作 x他5人 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年12月18日 22時