お前との約束。 ページ15
「……俺の思い、ちゃんと伝えに来たで。」
次の日の早朝。まだ朝霧が残る街の墓地。
俺は彼女が眠る墓石の前にいた。
もう二度とAには会えへん。
戻ってなど来へん。
その現実は当たり前のように突きつけられてくる。
だけど
俺は確かに、Aと会って。
そして約束をした。
静かに微笑んでから目を閉じる。
すると、今までの思い出が浮かんでくる。
Aと初めて出会った時。
初めて一緒に仕事をした時。
初めて戦争に参加した時。
そして
初めて恋をした時。
初めて恋人ができた時。
初めてキスをした時。
__あの時に聞いたAの声も。
『おはようトントン。今日も一緒に頑張ろうね!』
心も。
『…それでも、私はトントンの事を支えていきたい。だって…だって、トントンの事が大好きだから…!!』
優しさも。
『書類整理、大変だよね…?…うん、決めた!私も手伝う!2人でやった方が直ぐに終わるでしょ?』
笑顔も。
『わぁ…!!本当にこれ、貰っていいの…?…ふふ、嬉しい。ありがとう、トントン!!』
初めて彼女にプレゼントとして渡した、お揃いの赤い十字架ピアス。とても喜んでくれたのを今でも覚えている。
ちゃり、と耳元でピアスの揺れる音がする。
片方は自分のもの。
もう片方はAのもの。
Aの声、
心、
優しさ、
笑顔。
全てが全て、俺のものやったんや。
俺は空に向かって笑顔を作る。
「…分かったで、A。今度こそはその約束、絶対に守ってみせる。だから、そこからちゃんと見ててや。…絶対に諦めへんからな…!!」
今日も彼女との約束を守るために生きる。
『次に私に会う時は、ずっと後。私と同じように直ぐこっちに来ない事。………トントン自身が、幸せになる事。』
生きるという事こそが、約束であるのだから。
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革ベルト
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ryo0708(プロフ) - 気づいたら泣いてました。 めっちゃ良かったです！ (2019年10月5日 14時) (
レス) id: 783db2f82e (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - 泣いてしまいました。応援します。 (2019年9月25日 10時) (レス) id: 4906f728aa (このIDを非表示/違反報告)
めんま(プロフ) - わかさん» 確認が遅れてしまい申し訳ございません…そう言って頂けると嬉しいです。ありがとうございます。 (2019年5月26日 0時) (レス) id: bdda4343e0 (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - なんだか勝手に涙が出てきました。いいものを読ませていただきました。 (2019年1月22日 23時) (レス) id: ebf216be6f (このIDを非表示/違反報告)
めんま(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます。フラグを外すのを完璧に忘れておりました…今後気を付けていきます。 (2018年10月3日 19時) (レス) id: bdda4343e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めんま | 作成日時：2018年10月3日 14時
