第365夜 ページ32
「とりあえず話は分かった。だが騎士団としてはこのままトリトンが動いてくれるのをただ待っている訳にもいかない」
話を切ったのはルーピン先生だった。先生と視線がかち合う
「彼が行きそうな場所に心当たりは？」
『うーん』
「どこか気に入りの場所があったとか、行きたがってた国があったとか」
『じいちゃんフッ軽だしなぁ」
「…そんな方でしたっけ」
『職場では取り繕ってたかもしれないけど、そういう人だよ』
とにかく自由で気分屋で行動力のある、めちゃくちゃな人だった。それ故に父とは気が合わなかった
ふと思い出す。大喧嘩の末、家を出て行ってしまった祖父の背中を
当時の僕は去っていく背をただ見つめる事しか出来なかった
『まぁ、案外ヨーロッパ辺りにいるんじゃないかな。じいちゃんは神話や伝説に強い興味を抱いていた。アーサー王、シャルルマーニュ、ギリシャ神話に北欧神話。…その辺が特に好きだからさ』
それに、と軽く言葉を続ける
『うちの伝説の発祥もジブラルタル海峡付近だしね。大西洋の…』
「ちょ、ちょっと待ってくれ！！」
すると突然、慌てたような、びっくりしたような大きな声に遮られた
その大声にこっちがびっくりしていると、話を遮ったルーピン先生が呆気に取られたような顔をして僕を見ていた
よく見てみるとルーピン先生だけじゃなく他の面々も口をあんぐり開けており、何かに酷く驚いているようだった
『ど、どうした？』
「どうしたじゃあない。お前、今とても重要なことを言った自覚がないのか？」
『？』
目を見開いてブラックが言うので僕はますます意味がわからない
首を傾げた僕にマクゴナガル先生が眉間を揉みながら息をついた
「ヘルエレガル…伝説の発祥はどこだと？」
『だからジブラルタル海峡のすぐ外側、大西洋のどこかに沈んだ幻の……』
大陸
そう続けようとした言葉は尻すぼみになって消えた
ふと、とんでもないことに気付いてしまったのだ
自分と、自分以外の人間との間には大きな認識の差があることに。自分にとっての常識が、他人にとってはそうでは無いということに
『あの、もしかしてさ…』
僕は固まる面々に恐る恐る尋ねる
『皆は知らなかったりするの…？その、うちのルーツが…』
ゴクリ…
誰かが唾を飲む音がこちらにまで聞こえてくる
『幻の大陸＿＿＿＿アトランティスだってこと』
カラン…
沈黙の部屋に乾いた音が響く
また誰かが杖を落としたようだった
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ぽか - 面白すぎてすぐ読んでしまいました！すごく面白いですし、主人公の病みが出てきてワクワクしてます！完結して欲しい・・・！更新無理せず頑張ってください！ (4月19日 17時) (
レス) @page34 id: 8fb0247eee (このIDを非表示/違反報告)
まど - 読んでて物凄くわくわくしました！言葉や展開の言い回しが素敵で、実際にある国などついつい調べて何時間も費やしてしまいました幸せです。是非完結していただきたい…！無理せず更新頑張ってください！ (1月9日 21時) (レス) @page34 id: 6fc7e82b20 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの - 凄く面白くて一日で見ました！！今から2週目見てきます！！！！更新頑張ってください！！！！ (12月24日 13時) (レス) @page34 id: 49fa55860c (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ - はぁぁ！最高です♡♡また更新してください♡待ってます！！！お体にお気をつけて！ (9月12日 21時) (レス) @page34 id: eb702a756c (このIDを非表示/違反報告)
おパブロで。 - お、面白すぎてイッキ見しちゃった……(ﾟωﾟ)お身体に気を付けて毎秒更新して下さいね！！！！ (9月12日 0時) (レス) @page34 id: e2ea27c298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年12月17日 17時
