第361夜 ページ28
おばさんは僕がいいと言うのも聞かず簡単にスープと果物を用意してくれた
申し訳ないことをしたと気負う僕に「気にしなくていいのよ。いっぱい食べて」とおばさんは笑った
ニコニコと僕を見るおばさんに肩からホッと力が抜ける
そっとスプーンを手に取り、僕のために具を少なめにしたコンソメスープを掬って口に運んだ
「どう？美味しい？」
『うん。…あったかいの久しぶりだ』
そう言ってまたスープを口に運ぶとおばさんは更に嬉しそうに顔を綻ばせた
暫く夢中になってスープを食していると、それまで様子を見守っていたウィーズリーおじさんがふと「モリー」とおばさんを呼んだ
するとおばさんは「…あぁ！そうだったわ！」と言って部屋の奥へと足早く去っていく
なんなんだ？と僕は視線だけでその様子を眺めていると、暫くして部屋の奥からおばさんが何やら袋を抱えて戻ってきた
目が合うと、おばさんはどこか緊張した様子で僕と袋を交互に見た
「A」
『…おばさん？』
緊張と不安が綯い交ぜになった顔で、けれど表面上は笑顔を浮かべたままおばさんが僕にそろりと近寄る
動かしていた手を止め、僕は顔を上げた
「これ、貴族のあなたにあげるものとしてはどうかと思ったんだけど…」
そう言って手渡されたのは上部を赤いリボンで纏められたネイビーの袋
促され僕はリボンを丁寧な手つきで解く
袋の中に手を伸ばすと指先に何かが触れた。それを掴んで僕は袋から中身を取り出す
「高価なものでも、お店に売ってるような綺麗なものでもないけど
…貰ってくれると嬉しいわ」
僕の手の中にあったのは青鈍のマフラーだった
手編みのそれは両端にフリンジが施されており、少し毛羽立っている
柔らかく温かいその感触に僕は目を丸くした
「無理して受け取らなくてもいいぜ」
固まる僕にロンが助け舟のつもりかそんなことを言う。隣でハーマイオニーがロンを窘めるが彼女も息を潜めてこちらを伺っている
ハリーや双子、セドリックまでどこか緊張した様子だった
『…受け取らないわけないだろ』
そんな面々を見遣ると僕は視線を落として呟く
『僕は貰ってばっかだな…』
きゅ、と指先に力を込めてマフラーを握り締めた
『ありがとう』
顔を上げておばさんと目を合わせる
『大事にする』
そう言うとおばさんの目元の皺がより深くなった
「…メリークリスマス、A」
ちょっと涙目のおばさんに気付かないフリをして僕も『メリークリスマス』と返した
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ぽか - 面白すぎてすぐ読んでしまいました！すごく面白いですし、主人公の病みが出てきてワクワクしてます！完結して欲しい・・・！更新無理せず頑張ってください！ (4月19日 17時) (
レス) @page34 id: 8fb0247eee (このIDを非表示/違反報告)
まど - 読んでて物凄くわくわくしました！言葉や展開の言い回しが素敵で、実際にある国などついつい調べて何時間も費やしてしまいました幸せです。是非完結していただきたい…！無理せず更新頑張ってください！ (1月9日 21時) (レス) @page34 id: 6fc7e82b20 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの - 凄く面白くて一日で見ました！！今から2週目見てきます！！！！更新頑張ってください！！！！ (12月24日 13時) (レス) @page34 id: 49fa55860c (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ - はぁぁ！最高です♡♡また更新してください♡待ってます！！！お体にお気をつけて！ (9月12日 21時) (レス) @page34 id: eb702a756c (このIDを非表示/違反報告)
おパブロで。 - お、面白すぎてイッキ見しちゃった……(ﾟωﾟ)お身体に気を付けて毎秒更新して下さいね！！！！ (9月12日 0時) (レス) @page34 id: e2ea27c298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年12月17日 17時
