第358夜 ページ25
ルーピン先生が頭を拭う度にグワングワンと体まで揺れそうになった。力加減に遠慮がない
『っ、くシュッ』
されるがままで突っ立っていたが、いよいよ体の芯まで冷え込みそうだったので僕は床に脱ぎ捨てられた下着を拾うとノロノロと身につけた
「あぁ動かないでくれA」
『無理。寒いもん』
さっきと同じ服を着るのはいささか気持ちが悪かったが着替えを持参するのを忘れていたので仕方がない
下を履き終わると、ルーピン先生もあらかた拭き終えたのか、タオルだけ寄越して僕から一歩後ろに離れた
ブラックは先程から無言で、微動だにしない
大人二人の視線を受けながら僕はいそいそとシャツを拾い上げた。なんだろう、この妙な時間は
僕がマイペースに着替えているのが余程不思議だったのか、ルーピン先生が「ちっとも恥じ入らないね」と苦笑した
「普通…なんというか、裸を見られたらもう少し恥ずかしそうにしない？特に君のような年頃の子は」
『見られて恥じらうような性格じゃないし、そもそも恥じ入るような体つきはしてない』
「そういう問題かな…」
言って、先生はそのままスッと僕から視線を逸らした。一応気を遣っているらしい
それに比べてこっちは…
「……」
『何ガン見してんの。えっち』
「…………」
袖に腕を通しながら、こちらを凝視するブラックに揶揄うように声を掛けた
ピキッとブラックの額に青筋が浮かぶ。しかし、珍しいことに彼が僕に言い返すことは無かった
それをつまらないと思いながら、僕は縁の錆びた鏡を振り返った
手櫛で雑に髪を整える。髪に指を通すと数本の白銀の糸が指の間に絡みついてきた。それを傍にあったゴミ箱に棄てる
「…………傷」
ふと、それまで無言を貫いていたブラックがボソリと何事かを呟いた
鏡と向き合っていた僕は『ん？』と男を振り返る
『何か言った？』
「……傷跡。いつのものだ？」
もうちょっとマシな聞き方はないのかと思いつつ、僕は言われたことを反芻する
傷跡、はてなんのことやら
首を傾げそうになった時、僕はあっと思い当たるものに気が付いた
『背中のこれなら、僕が3年生の時のものだよ』
背中の傷。2年前の跡。
ドラコをヒッポグリフから庇った時にできた、あの鉤爪の跡だった
僕はシャツの下に隠れてしまったそれを、そんなこともあったなと懐古しながら続ける
『思ったより傷が深くて。跡、残ったんだ』
それがどうかした？と僕はなんてことないように男を振り返った
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ぽか - 面白すぎてすぐ読んでしまいました！すごく面白いですし、主人公の病みが出てきてワクワクしてます！完結して欲しい・・・！更新無理せず頑張ってください！ (4月19日 17時) (
レス) @page34 id: 8fb0247eee (このIDを非表示/違反報告)
まど - 読んでて物凄くわくわくしました！言葉や展開の言い回しが素敵で、実際にある国などついつい調べて何時間も費やしてしまいました幸せです。是非完結していただきたい…！無理せず更新頑張ってください！ (1月9日 21時) (レス) @page34 id: 6fc7e82b20 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの - 凄く面白くて一日で見ました！！今から2週目見てきます！！！！更新頑張ってください！！！！ (12月24日 13時) (レス) @page34 id: 49fa55860c (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ - はぁぁ！最高です♡♡また更新してください♡待ってます！！！お体にお気をつけて！ (9月12日 21時) (レス) @page34 id: eb702a756c (このIDを非表示/違反報告)
おパブロで。 - お、面白すぎてイッキ見しちゃった……(ﾟωﾟ)お身体に気を付けて毎秒更新して下さいね！！！！ (9月12日 0時) (レス) @page34 id: e2ea27c298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年12月17日 17時
