第357夜 ページ24
禊を終え、さっぱりした状態でシャワールームを出ると僕は軽く視線を巡らせた
いつもはセドリックやルーピン先生が部屋に置いてくれるタオルを持参していたのだが、今回は手ぶらだ
『どれかな…』
脱衣所には大小2つの棚があり、そのうちのどれかの引き出しにタオルが入っているのだろうと当たりをつける
とりあえず目に付いたところから引き出しを開けていこうと、徐に手を伸ばした時だった
＿＿＿ドスドスドスドスッ
締め切った扉の向こう。怒りを体現したかのような足音が荒々しくこちらへ近付いてきていた
その乱暴な足取りに心当たりしかない僕は面倒になってため息をつく。誰がこっちに来てるかなんて明白だった
「ヘルエレガル！！この高慢な穀つ、…ぶし…、」
しかし、僕に対する憎々しい怒声は、浴室の扉が開け放たれると徐々に尻すぼみになっていった
目尻を吊り上げたブラックと、僕の瞳が交差する
廊下から吹き込んだ冷たい空気が素っ裸の僕を撫で上げた
『寒いんだけど。閉めてくんない？』
「……貴様、なぜ服を着ていない？…阿呆なのか？」
『服を着ながら風呂に入る馬鹿がどこにいるんだよ』
ヒュウウ…と氷のように冷たい冷気が肌を直撃し、僕はブルリと体を震わせた。マジではやく戸を閉めろ
「シリウス！一体何のさ…わ、…ぎ…」
僕とブラックがお互い顔を合わせて固まっていると、今度は騒ぎを聞きつけたのだろう。ルーピン先生がブラックの背後から現れた
先生は僕が全裸で、加えて全身びしょ濡れなのを見て虚をつかれたように目を見開いた
「A？なんて格好をしているんだ。早く服を着なさい」
硬直をすぐに解いた先生は慌ててブラックごと浴室に押し込むと、急いで扉を閉めてそう言った
廊下からの冷気が遮断され、僕はほっと息をつく
『うん。…タオルどこ？』
「あぁ…、タオルならその棚の一番上の引き出しだよ」
言いながら先生は僕より俊敏に動いてサッとタオルを取り出すと、こちらが何か言う前に大きなバスタオルを濡れた体に巻き付けた
「あぁもう、こんなに体を冷やして……風邪を引いたらどうするんだい？」
『…ヘッ、クシュッ』
「言ったそばから…」
ズビ…と鼻水が垂れそうになると先生はすかさず「これで鼻をかんで」とティッシュを寄越した
鼻水と格闘している間にも先生はテキパキと僕の全身を拭いていく
まるで赤ちゃんになった気分だが、世話を焼かれるのは嫌いじゃないので先生の好きにさせておいた
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ぽか - 面白すぎてすぐ読んでしまいました！すごく面白いですし、主人公の病みが出てきてワクワクしてます！完結して欲しい・・・！更新無理せず頑張ってください！ (4月19日 17時) (
レス) @page34 id: 8fb0247eee (このIDを非表示/違反報告)
まど - 読んでて物凄くわくわくしました！言葉や展開の言い回しが素敵で、実際にある国などついつい調べて何時間も費やしてしまいました幸せです。是非完結していただきたい…！無理せず更新頑張ってください！ (1月9日 21時) (レス) @page34 id: 6fc7e82b20 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの - 凄く面白くて一日で見ました！！今から2週目見てきます！！！！更新頑張ってください！！！！ (12月24日 13時) (レス) @page34 id: 49fa55860c (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ - はぁぁ！最高です♡♡また更新してください♡待ってます！！！お体にお気をつけて！ (9月12日 21時) (レス) @page34 id: eb702a756c (このIDを非表示/違反報告)
おパブロで。 - お、面白すぎてイッキ見しちゃった……(ﾟωﾟ)お身体に気を付けて毎秒更新して下さいね！！！！ (9月12日 0時) (レス) @page34 id: e2ea27c298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年12月17日 17時
