第355夜 ページ22
マッドアイから結構重めのゲンコツを食らうと、僕とブラックは渋々とだが、その場はお互い引き下がることにした
「チッ。…そのムカつく面を私に見せてくれるなよJr．お前の居場所は分かっているだろうな」
『はいはい分かってるよ』
言って、雑に手を振って僕はブラックの横を通り抜ける
横切る際、ブラックがわざとらしく鼻を摘んでみせた。同じ空気を吸いたくないらしい。同感だ
さっさと4階に立ち去ろうとする僕の後ろを、困った様子でセドリックが付いてくる
別についてこなくていいのに。本当、責任感が強いよね、君
途中何度か人とすれ違ったけれど、そのどれにも反応を示すことなくズンズンと階段を上った
この家に来ると取り繕う余裕も保てない。早く一人になりたかった
『けほっ』
4階の小部屋に入った途端、ここに来てからはや二度目の咳が零れた
ボロボロの家具とお粗末な電球。以前と変わらぬままの不衛生さだ
「誰かが掃除してくれてると期待してたんだけど…」
『どうせあの家主に止められたんでしょ。気にしなくていい』
背後でセドリックが眉を顰めるのを声音だけで感じた
僕のために心を砕くその様子に、気持ちが少しだけ軽くなる
だが、その微かな喜びも直ぐに忘却の彼方へと追いやられていった
「掃除、手伝うよ」
『別にいい。それより毛布を探してきてくれる方が助かるよ。もう寝たいんだ』
「もう？まだ昼間だ。それに昼食もまだ…」
『小言を零すだけなら出て行ってくれる？』
ピシリ
比較的穏やかだった空気が一瞬で凍りつく
寄り添おうとする彼を理不尽に突き放す言い方。気付いたら口からそれが出てしまっていた
『(ダメだな…ここにいるとどうも余裕がなくなる)』
抑えが効かない。イライラする。欲求不満。ぶち壊したい。湧き上がる悪意。摩耗する理性。
ホグワーツは広かったからいいけど、ここじゃ逃げ隠れる場所が限られている。発散する方法もない
このままじゃ、いつか肉体だけじゃなくて心まで傷つけてしまう。優しい人の心まで
『(いや…)』
僕は内心首を振る
それから、背後にいるセドリックを恐る恐る振り返った
「……」
彼は無言で立ち尽くしていた。その瞳を観察すれば微かに揺れているのがわかる
…もう、充分傷つけていた
『…出て行って』
これ以上一緒にいたくなくて突き放す
暫くしてパタン…と扉の閉まる音がした。お望み通りのひとりきりだ
小さな部屋に消え入りそうな声が響いた
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ぽか - 面白すぎてすぐ読んでしまいました！すごく面白いですし、主人公の病みが出てきてワクワクしてます！完結して欲しい・・・！更新無理せず頑張ってください！ (4月19日 17時) (
レス) @page34 id: 8fb0247eee (このIDを非表示/違反報告)
まど - 読んでて物凄くわくわくしました！言葉や展開の言い回しが素敵で、実際にある国などついつい調べて何時間も費やしてしまいました幸せです。是非完結していただきたい…！無理せず更新頑張ってください！ (1月9日 21時) (レス) @page34 id: 6fc7e82b20 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの - 凄く面白くて一日で見ました！！今から2週目見てきます！！！！更新頑張ってください！！！！ (12月24日 13時) (レス) @page34 id: 49fa55860c (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ - はぁぁ！最高です♡♡また更新してください♡待ってます！！！お体にお気をつけて！ (9月12日 21時) (レス) @page34 id: eb702a756c (このIDを非表示/違反報告)
おパブロで。 - お、面白すぎてイッキ見しちゃった……(ﾟωﾟ)お身体に気を付けて毎秒更新して下さいね！！！！ (9月12日 0時) (レス) @page34 id: e2ea27c298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年12月17日 17時
