見えない距離の方程式 ページ2
さわやかな春の香り。
ささやかに揺れる風。
すべてがただただ『春』を表すためだけに今この世にいるように思える。
そんなことを透明なガラスを挟んで見える光景に語っていた。
「委員長！ここ教えてよ〜！」
視界を上げるとそこには神沢と酒井が立っていた。
ちなみに委員長とは私のあだ名らしい。
その名の通り、私はこの3年６組の委員長である。
…まぁ、推選で当たったからしかたなくなのだけれど。
だけれど、やるからには完璧に最高のものでありたい。
それが私の委員長としてのただ一つのいわば理屈でもあった。
思考を神沢と酒井にもどす。
神沢 彩芽。これまたザ・女子高生というような制服をアレンジした着方をしていて、いつもポニテールを赤いゴムでしばるというとにかく女子力が高い人だ。苦手科目は数学。よく私に聞きにくる。よく私と一緒にいる友達だ。クラスの皆にも人気だ。
酒井 加奈。神沢と幼なじみらしく、よく一緒にいる。長い茶髪を後ろでまとめている。全教科が苦手らしくよく私に酒井と聞きにくる。すごく天然でツッコミどころ満載だ。そして超甘いもの好き。…見かけとは違って大食いである。
以前一緒に帰りカフェに寄った時「私はプリンとパンケーキとカステラといちごミルクと…あっ！この限定超メガ盛りチョコレートパフェも！」などと胃袋を一度研究してみたくなるような超人的な量をペロリと平らげ挙句「おかわりしようかなぁ〜」などとつぶやいていた。
「いいよ。どこ？」
私が聞くと「ありがと！問６なんだ！」と酒井がいう。「神沢は？」と聞くと神沢も「うん」とうなずいた。
私が問題に目を通し始めた時
「…そういえばさぁ、委員長って私たちのこと、苗字でしか呼んでくれてないよね」
と神沢がつぶやいた。
「たしかに…！ねぇ、委員長、私、名前で呼んでほしい！」
それに酒井が相づちをうつ。
…そういえばそうだ。なれだろうか。このクラスのメンバーを名前で呼んだことは一度もない。そもそも呼ぶ機会もないし、名前で呼ぼうとも思わなかった。
でも、今酒井は名前で呼んでほしいといった。
するとクラスの皆も集まってきた。
「じゃあさ、俺の名前も名前で呼んでよ！信也ってさ！」
「委員長！もうみんなの事名前で呼んでよ！」
心臓が高ぶる。
こんなにも暖かいことに。
私は
「…うん！」
とこのクラスで初めての笑顔を作って見せた。
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きむち(プロフ) - ランキング入りおめでとうございます (2015年4月9日 16時) (携帯から) (
レス) id: 4e3805e54f (このIDを非表示/違反報告)
おまめ(プロフ) - 私は酒井加奈ちゃんが好きです！！あと、これすごく面白いです！！！応援してます！！ (2015年4月8日 9時) (レス) id: 7dced42b31 (このIDを非表示/違反報告)
でっていう - どの子もうちのクラスに似ている事についてwいや本当に似てんだってwww (´∀`)ﾉｼ=□(°∀°)！ (2015年4月6日 21時) (レス) id: 3339ec8bd3 (このIDを非表示/違反報告)
Sakura(プロフ) - 19番の、玲が好きです。なんとなく、一人称が自分と似てると思いました (2015年4月6日 8時) (レス) id: 11cc9aba1d (このIDを非表示/違反報告)
ぷっちょ - 実際に読んだらさっそく好きなキャラクターが出ました！嬉しかったです！私はこの小説嫌いじゃないですよ！むしろ好きです！私も小説書いたことありますが面白いです！頑張って下さい！ (2015年4月5日 22時) (レス) id: adbf88c4e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉月 | 作成日時：2015年4月1日 15時
