別れはきっと辛いけど【白布賢二郎】

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やっぱり天童は予想を反したものだった。他の人から聞いたらその答えはきっと返ってこなかっただろう。

そんな噂があったなんて知らなかったし、一番現実から離れた話はあるが有力な説なのは確かだ。



「……夜、遅くにごめんね、」


天童と別れスーパーでの買い物も済ませて、家に着くなりAちゃんのトーク画面を探した。

本当は電話したいところだがとっくのとうに消灯時間を過ぎているだろうし、ここはメッセージで。



『大丈夫ですよ。どうしましたか？』

「あのさ、白布が最近おかしかったことある？」

『おかしかった……？』

「うん、言動とか」


返ってきたのは人参を持ったウサギが首を傾げてはてなマークを浮かべてるスタンプ。

そんなこと急に言われても分かんないか……、と諦めようとしたら、ふと『あ』と来た。



『そう言えば、瀬見さんが初めて病室に来る前に賢ちゃんがーー。』




『俺がAの病気を治す、って。 俺がAを幸せにするからって……』



まるで魔法使いのような言い方で驚いた記憶があります、とメッセージが連続して来た。

俺は思わず目を見開かせた。……そう、Aちゃんが言う通りにそれはまるで魔法使いのような言い方。



でも白布には出来るんだよ。

やはり白布にとってAちゃんは最も大切な人で、それはきっと『自分の身』を犠牲にしてでも。





『別れはきっと辛いけど、

アイツが幸せならそれで良いんです』




白布の声がこだまする。

頭に浮かんだのは酷く悲しそうな顔だった。

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