君は泣いていた。【岩泉一】

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「ごめんね、いきなり」


家の近くにあるファミレスに

わざわざ徹は居酒屋から来てくれた。


電話して、話したいことがあると言ったら

そっちに行くとすぐに言ってくれたのだ。








「それはいいんだけど…、どうしたの？」


メニューを広げながら

お腹すいたな、なんてニコッと笑って言う。


きっと暗い顔をしてる私に気遣ってるんだろうけど

今の私に、笑う余裕なんてない。




「岩ちゃんのこと…助けてほしい」

「えッ？」


メニューに夢中になっていた徹も

思わず顔を上げた。




「このままじゃ、岩ちゃん…ッ」


蘭さんと付き合うことになるかもしれない。

騙されて、椿と重ねて…。


蘭さんは椿とはまるで違う

顔は同じでも性格は真逆なのに。





あんな人に岩ちゃんを取られたくない…ッ

でも、私がいくら言っても…。






「落ち着いて、最初から話して？」


「ッく…うん……ッ」








.









本当は…私が岩ちゃんと付き合いたい。

でも、ほんの少しの可能性もない…？



岩ちゃんの心は、

蘭さんに奪われてしまうの？

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