君は泣いていた。【岩泉一】

21 兄弟 ページ21

「椿に…双子の姉？」


まず、椿に双子の姉がいたという事を話すと

徹は目を見開かせて驚いた。


その反応を見ると、徹も知らなかったんだ。

いや、岩ちゃんが知らないくらいだから…当然か。




「蘭さんって言うんだけど…本当にソックリで」

「性格も？」


そこで思わず口が止まった。

性格は…、優しい椿とはまるで違う、




「最低な女…」

「えッ？」

「椿が死んでよかった、なんて言ってた」


血の繋がった家族である妹を

そんな風に思うなんて最低だ、と言えば

徹も何度も頷いた。



でも蘭さんの言葉が浮かぶたびに

私が椿に抱いた「消えてしまえ」という思いも

頭の中にぐるぐると渦巻くわけで。




『最低だ』という言葉は私にも該当するんだ、

なんて、一人心の中で思う。




「双子の姉もいたんだ…」

「も、？」


ってことは他にも兄弟がいるの？

私、一度も聞いたことないんだけど…。







「知らないの？椿には、_______prrrr prrrr…


徹の言葉を遮るように携帯電話が鳴った。


出てきなよ、と言うと徹はごめんと言って

お手洗いの方に行った。









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