今日の歪 2

今日のわんこ　88号 ページ49

キッチンに入ると、油の匂いとパチパチと弾ける音が五感を刺激する。

歪「！からあげですか！」ｷﾗｷﾗ

鶏肉に染み込ませた醤油の匂いと油の匂いで勘づいたのか笑顔でAに引っ付く。

A「コラ…！歪、油使ってるから危ない…！」

手が足りないAは油で揚げられているから揚げから目を離さずに肘で歪を引き離す。

歪「味見…！味見したいです！！」

A「しなくていい。」

歪「…」ｼﾞｰ…

A「もうその手には乗んないぞ！危ないからそっちで暇そうにしてる奴らと話してきなさい。」

Aは素早く揚がったから揚げを取りながら菜箸で他の隊員たちを指す。

キッチン2「いや、俺らも暇じゃねぇんだけど。」

歪「むぅ…。」

味見という名のつまみ食いに失敗して歪は渋々と他の隊員たちへ行く。

歪はイスに座ってキャベツの千切りをしている隊員に聞く。

歪「から揚げ１人何個ですか？」

キッチン1「一応１人4つの予定ですよ。」

歪「余ったら僕の5個にしてください…！」

毎日美味しそうに食べてくれる歪にキッチンの隊員たちは嬉しく思わず甘やかしてしまう。

キッチン1「しょうがないですね。歪隊長のは6つにしましょう。」

歪「！！」ｷﾗｷﾗ

A「コラ！甘やかすな！」

一瞬目を離した隙に跳ねた油がAの手に当たる。

A「熱っ！」

歪「！Aさん！」

A「いってぇ…。」

Aは自分の手の甲を見て赤くなっているところを擦る。

キッチン2「油が跳ねたか。」

キッチン3「ほら、水で冷やして。」

A「いや、平気だら。」

キッチン1「お前、目の前の隊長を見て同じことが言えるか？」

歪「…(泣)」ｱﾜｱﾜ

今にも零れそうな涙を溜めて私の手を擦っている歪に軽くため息をつく。

A「(全くこのくらいなんてことないのに。)分かったわよ。じゃあ誰かから揚げお願い。」

キッチン4「はいよー。」

歪はAから油を遠ざけて流水で手の甲を冷やす。

歪「Aさん…痛くないですか？」ｱｾｱｾ

A「うん、もう痛くないわよ。」

歪「医務室行きますか？」ｳﾙｳﾙ

A「大丈夫よ。」

歪「Aさんの手がぁ…(泣)」

A「いや、だから大丈夫だって。」

Aは安心させるために歪の頭を撫でる。

最終的にばんそうこうを貼って貰い、その日中は油に近づけさせてくれなかった。

A「いや、もう平気だって流石に。」

歪「ダメです！僕にはAさんを護るって誓ったんですから！」ぎゅぅ

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