今日の歪 2

今日のわんこ　84号 ページ44

Aの部屋で温かいエアコンの風が歪の髪を撫でる。

歪「ん…。」

ウトウトと、船を漕いでいる歪に洗濯物を畳んでいる最中のAが肩を揺らす。

A「コラ、歪。寝るなら自分の部屋に行きなさい。」

歪「んー…もうちょっと…。」

珍しく敬語じゃない歪に「もう…。」と洗濯物を畳むのに専念する。

数分後、残りわずかの洗濯物を一気に折り畳もうと意気込んでいるとAの背中に歪が張り付く。

歪「うー…Aさ…。」

A「歪、重たい。眠たいなら部屋に戻りなさい。」

歪「ヤです…。ぎゅーしてください…。」

そう言って後ろから抱きついてAの肩に顔を擦り付ける歪。

そんなことも問答無用でAは歪の脳天にチョップを食らわせて引っ付き虫状態である歪を片腕で引き離す。

A「邪魔。」

歪「すみません…。」ｼｮﾝﾎﾞﾘ

辛辣な言葉が飛んできて少し落ち込む歪。

Aは膝に置いてある畳んだ服を積み上げた服の上に乗せると、体ごと歪と正面を向くようにして両手を広げる。

A「はい。おいで。」

歪「！」

歪は勢いに任せてAに甘えるかのように抱きつく。

頬をこれでもかと言う程にAに擦り付ける。

歪「さっき邪魔言われたのでダメかと思いました。」

A「お馬鹿。あのまま抱きついたらせっかく畳んだ膝にある洗濯物がぐちゃぐちゃになっちゃうでしょ？」

歪の温かさを堪能しながら背中を撫でるA。

歪「えへへ…へへ…。そうですね…！」

歪は満面の笑みでその小さな体の安心さを味わった。

10分後

A「くそ…油断した…。」

歪「ｽﾋﾟｰ…ｽﾋﾟｰ…」

歪はAの膝の上に乗って抱きついてる状態のため、身動きが取れない。

この体勢が夕飯を作る時間まで続いた。

※ちなみに、二人は互いに好きだと伝えていますが付き合っていません。

Q.なぜ付き合わないんですか？

A.Aの回答
A「いや、私なんかより良い奴いるでしょ。それに私と一緒にいたらこれからの生活しんどいことになるよ。」

A.歪の回答
歪「確かに、なんでですかね…。」
解説:歪は長年上の言うことしか聞けなくなったのが原因で無意識に自分の意思が蓋されている状態。だから、付き合いたいという感情に気付いていない。

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