今日の歪 2

今日のわんこ　74号 ページ31

目を覚ますと、そこは病院で横には心配な表情を浮かべる後輩が座っていた。

後輩「Aちゃん…良かった…。目を覚ましたんだね…。」

A「ん…」

Aはゆっくりと体を起こして自分の首に包帯が巻かれていることに気がつく。

それからいろんな情報を得るために身の回りや後輩の容体を見る。

後輩の隊服は綺麗できっとあの後に着替えたのだろう。

だからか後輩のところから血の匂いが鼻につく。

それよりも気になることを後輩に訊く。

A「お父さんとお母さんは…？」

その問いに後輩は表情を暗くさせてゆっくりとAを抱き締める。

後輩「Aちゃん…落ち着いて聞いてね…。」

母親は首に大きな傷、父親は首と胸を斧で刺されてもう助からない程の致命傷だったらしい。

死亡時刻も考えると、Aが家に帰ってくる頃には既に息を引き取っていたことが分かった。

それを伝えられたAは勢いよく後輩を突き飛ばすが、体幹がしっかりしているのもあって後ろ足すらつかなかった。

でも、今のAにそんなことはどうでもいい。

A「嘘！！嘘なんかつかないでよ！！」

後輩「嘘じゃないんだ…Aちゃ A「ウソ！！お父さんたちが殺されるわけないじゃん！！お父さん、前は桃太郎だったんだよ！？鬼に殺されたりなんかしない！！」Aちゃん、聞いて A「やだ！！聞きたくない！！」」

怒りと悲しみが混ざって悪くもない後輩の体を殴る。

何もかも理解ができないのにも関わらず、勝手に涙が目から逃げていく。

後輩「Aちゃん…。」

A「ウソ…ウソだよ…。お父さんとお母さん…何も悪いことしてないじゃん…。なんで……」

殴る腕も上がらず、ただ両親が死んでしまったことに涙が出た。

ついには声も押し殺せず、喉からは自分の声とは思えない声が出てくる。

大声をあげたり、関係なく殴ったのにも関わらず後輩はもう一度Aの小さな体を優しく抱き締めてあげた。

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