今日の歪 2

今日のわんこ　68号 ページ25

A「うっ…。」

外の騒がしさと肩を強く掴まれている感触でAはようやく絡み付く夢から抜け出す。

A「歪…？」

小声でそう呟けば、名前を呼ばれた本人は安心したかのような表情を見せる。

歪「Aさん、大丈夫ですか？」

真一「また…うなされてましたよ…。」

A「あー…うん…。平気…平気だよ…。」

平気と言うにはやつれた瞳をしている。

そんなAに歪は優しく抱き締める。

改めて人の温もりの温かさを教えるかのように…。

A「？歪…？」

困惑するAに歪はそのまま頭を撫でる。

以前同じようにしてくれたように…。

歪「大丈夫です。僕がついてますから…。だから、怖くないです…。」

A「……うん…。」

Aはそのまま歪にくっついて顔を胸板に埋める。

そんな様子のAに歪は勇気を出して過去の話を聞いてみる。

歪「もし…Aさんが嫌じゃなければですが…教えてくれませんか…？何があったのか…。」

そう言うと、Aはゆっくりと顔を歪の胸から離してしばらく考える。

A「……。」

話すべきだと思っているのか双子もその話に乗せてくる。

真一「Aさん…無理強いはしませんが、歪にもそろそろ話した方が…。」

真二「歪は言いふらすような真似はしないですよ。」

双子に背を押されたのかAはゆっくりと頷いた。

A「それもそうだね…。」

Aは歪の腕から離れると、ゆっくりと昔の話を口にした。

A「……まあ、桃太郎の中ではよくある話なんだけどね…。」

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