今日の歪 2

今日のわんこ　61号 ページ18

またもや大遅刻…。新年とはいえ、ちゃんと時間を守らねば…。

全員でバラけて探そうとすると、鍵がかかっているはずの冷凍庫から声が聞こえてきた。

「すみません！！開けてください！！！！」ドンドンッ！！

全員「！！！」

全員してドア前に立ち、真一がその声に返事をする。

真一「歪！いるのか！！」

歪「はい！」

キッチン2「Aは！」

歪「います！！何者かに閉じ込められちゃって！開けてください！！」

周辺を探すが、近くに鍵らしきものは落ちていない。

真二「おい、鍵ねぇぞ！どこにあんだよ！」

歪「誰かに取られてしまったみたいで…」

キッチン1「仕方ないか…。歪隊長！そのまま能力でこのドアを壊してください！」

歪「え…でも、ここにある食材が…！」

キッチン1「研究所に冷凍庫はまだいくつかあります…！そこに移動させるのが大変ですけど、今はお二人の命が優先です！責任は私が取るので、壊してください！！」

歪は後ろで眠っている炉を見る。

A「スー……ｹﾞﾎｯｺﾞﾎｯｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ」

歪「っ…！……スー…フー……」

深呼吸をして手をドアに当てる。

歪「分かりました…！壊します！危ないので、皆さん後ろに下がってください…！」

全員が後ろに下がって真一が合図を出す。

真一「いいぞ！」

歪「はい！！」

歪が触れたドアはみるみるとねじ曲がって歪んでいく。

バキバキバキバキ

金属の潰れる音が続くと、金具を巻き込んでドアは前に倒れた。

ド ォ ォ ン …

冷凍庫周辺は一瞬にして冷気が広がり、冷凍庫の出口から歪は先にAを抱き抱えて外にいる真一たちに預ける。

歪「僕は後でいいです…。Aさんを先に…頭怪我してるんです…。」

歪からAを預かると、真一はAを抱き抱えたまま指示を取る。

真一「分かった！Aさんは任せろ。真二と岼さんは歪の様子を見つつAさんと同じ医務室へ連れてきてくれ。キッチンの皆さんは早速食材の移動をお願いします。終わり次第、冷凍庫の鍵を探しましょう。歪、後でAさんと一緒に事情を詳しく聞くからな。」

歪「はい…。」

まだあまり動けない歪にジャケットを上からかけられる。

歪「？」

ベスト姿の真二が歪の隣にしゃがんで背中を擦る。

真二「よくAさんを守った。偉いぞ。」

歪「……はい。」

少し微笑を浮かべながら歪は考えていた。

歪「(一体…誰がこんなことを…。)」

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