今日の歪 2

今日のわんこ　55号 ページ11

朝食の配膳が始まり、ここ最近では歪とAは一緒のテーブルで食べていた。

だが、いつもよりもAとの距離が遠く感じる。

歪は口にあるものを飲み込んでから黙々と食べているAに声をかける。

歪「Aさん… A「ごちそうさま。歪も今日は会議あるんでしょ？頑張りなよ。」

歪「あ…はい…。」

話す隙すら無く、Aはそそくさとキッチンへと戻ってしまう。

歪「(Aさん…元気無いのかな…。それとも、朝食器返したの怒ってるのかな…。)」

そのとき、昨夜のことをふと思い出す。

"A「……毎年毎年…勘弁してくれ…。」"

歪「(毎年何か起こってる…？Aさんにとって怖いものが)」

朝食を食べ終えて歪はキッチンに向かった。

歪「おはよ キッチン1「確保！！」

キッチンに入った瞬間、隊員全員が歪に飛び付く。

歪「！」

反射的に身体が動き、隊員4人の飛び付きを回避する。

キッチン2「いで！」

キッチン1「ぐふっ」

キッチン4「ぐえ」

キッチン3「うっ…！」

まるで雪崩のように崩れていった4人を見て歪は手を差しのべる。

歪「あの…大丈夫ですか？」

キッチン1「あれ…歪隊長…。あ、ありがとうございます。よっ」

キッチン3「てことはAのやつまだ洗濯してる最中か。」

歪「Aさん、どうかしたんですか？今朝の朝食も何故か距離をおいて食べてたので…。」

すると、キッチンの隊員たちは互いの顔を見てうなずいた。

キッチン2「確定だな。」

キッチン4「ですね。」

歪「？」

キッチン1「アイツ、今日熱出してるんですよ。」

歪「え！」

それを聞くと、確かに今朝の距離の取り方も頷ける…。

歪「Aさん…大丈夫なんでしょうか…。」

キッチン2「いや、大丈夫じゃないですよ。」

歪「えっ！」

キッチン1「毎年冬になると、アイツうなされやすくなっちゃうんですよ。」

歪「どうしてですか…？」

その質問にキッチン全員が表情曇らす。

キッチン2「やっぱりアイツ、ちゃんと話してないんすね。」

歪「…え…？」

キッチン1「うーん…話すようには言ってたんですけどね…。とりあえず、Aを見つけ次第拘束して下さい。そうでもしないと休まないので…。」

歪「はい。(もしかして…昨日のやつもうなされてたのかな…。)」

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