今日の歪 2

今日のわんこ　46号 ページ2

A「ん…？これ、歪のだよな…。」



洗濯物を畳んでいると、ジャケットのボタンが取れかかってるのを見つける。



裏地の名前刺繍を確認すると、桃次 歪の文字が…。



A「やっぱり。えーっと…裁縫セット…」



引き出しから小さい裁縫セットを取り出して、一度取れかかってるボタンの糸を糸ばさみで切る。



A「(裁縫なんか久々だから上手く出来るかな…。)」



新しい糸を針に通してボタンを再び取り付ける。



数分後



A「ふぅ…できた…。」



Aはジャケットを広げて縫い直したボタンのところを確認する。



A「(うん。久々だから綺麗ではないけど、まあ形にはなってるでしょ。)」



Aはそれを素早く折り畳んで裁縫セットも片付けて他の洗濯物を畳むのに再開した。



１時間後、それを知らない歪は洗濯物をAから受け取って焦っていた。



歪「(しまった…。この間の鍛練でボタンが取れ欠けてたのをAさんに言い忘れてた…！)」



たまたま道端でAと出会い、そのまま自分の洗濯物を預かってから気付きとりあえず自室に戻る歪。



歪「(もしかすると、もう洗濯したときに取れてるかも…。)」



自室に戻って急いでジャケットの状態を確認する。



ジャケットを見て歪は取れかかっていたはずのボタンを見て手を止める。



歪「あれ…取れそうじゃない…。逆に…ちゃんとなってる…。」



あのとき、確実に取れかかってるのは分かっていた。



そうなれば、他に思い当たるのは1つしかない。



歪「Aさん…縫ってくれたのかな…。」



遠くから見ると、他のボタンと比べて少し不出来な状態であるボタンになんとなくそう感じた。



歪「ふふ……えへへ…。」



何故か勝手に笑いが込み上げて頬が緩む。



心の中が満たされている感覚に自分は嬉しいのだと実感する。



歪はそのジャケットを抱き締めながらベットへ横になる。



歪「Aさん…ありがとうございます。」



ジャケットから微かに感じる彼女の香りに鼻をくすぐられながらポツリと礼を溢した。

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