今日の歪

今日のわんこ　3号 ページ5

私たちは昼食の配膳が終わると、洗い物と午後の間食の準備に入る。



間食(おやつ)と夜食(おにぎり)は毎日食堂に欲しい人だけが提出する注文票がある。



私たちはその欲しい人たちの人数分だけを作り、時間になると食堂に並べる。



今日は間食を食べる人が57人。その中に歪も入っている。



私は背中に引っ付いてる引っ付き虫(歪)の視線を無視してパンケーキの生地を混ぜる。



その様子をキラキラした目で眺める引っ付き虫。



歪「今日のおやつはなんですか？」



A「パンケーキ」



歪「パンケーキ…！僕のは大きくしてください。」



もうずっとおやつが待ちきれない子供のように私に引っ付く歪。


いや、火も使ってるし危ないから。



A「歪。危ないから離れなさい。というか仕事してこい。」



歪「今日は仕事何もないです。院長にも好きに過ごせって言われました。」



A「だから、私に引っ付いていると？」



歪「はい。」



私はフライ返しを持った方の腕を曲げて歪の頭上を肘でこずく。



A「はい。じゃないんだよ。危ないから部屋に行ってろ。」



歪「はい…。」



歪はシュンとした顔でトボトボとキッチンの出入り口に向かう。



そんな歪に罪悪感を感じた訳じゃないけど、軽く一言だけ加えておく。



A「今日は特別に歪のだけ一枚多くしてあげるから部屋で良い子に待ってなさい。」



歪「！」



その言葉に歪は嬉しそうな表情を浮かべてまたこっちに走ってこようとする。



だが、閉まり始める自動ドアが歪の顔面に直撃にその勢いを消す。



歪「Aさ…ブッ！」



始終まで見てた私たちは一瞬頬に汗を流すが、歪はそこでうずくまってからしばらくするとご機嫌そうに部屋へ戻っていった。

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