決別 ページ39
突然聞こえてきた声に、太宰は驚く。
彼女の持っていた携帯からだった。
「時間があまりありません、おふざけはそこまでにして下さい。」
『はいはい、分かった…よっ!』
彼女は持っていた端末を太宰に投げると、それを受け取った太宰の顔が険しいものになった。
「A、これはどう言う事だい。どうして安吾と連絡を…」
『お前をここから確実に逃す。その為に、安吾に今後の事、太宰に協力しろと言った。』
「安吾に協力してもらう必要は無い。」
『良いんだよ、利用できるもんはしていけ。安吾はお前の今後に必ず力になってくれる。それに…』
Aは太宰に顔を近づけると嫌らしく笑った。
『お前のその嫌そうな顔を見れて、私は結構楽しいぞ?』
「!…はぁ…嫌な性格してるよ。」
『お前よりずっと可愛いもんだよ。』
2人はお互い少し笑った。
そして、遠くから銃弾の音が聞こえ始めた。
『どうやら、ミミックの殲滅が始まったらしい。今の内に行け。』
「…本当に良いんだね?」
2度と無いチャンス。
光の世界で生きる道が直ぐ側にある。
でも…
『…うん。』
「…じゃあ、私は行くよ…A、1つ頼みがある。」
『?』
「私の部下を…頼む。」
『!…っは。めんどくさい事で…バイバイ、太宰。』
「…さようなら、A。」
太宰はそのままその場から消えて行った。
私はな…太宰。
お前が嫌いだ。
でも、織田作がお前に託した想いがあるなら、それを守りたい。
何も守れなかった私だけど、お前ならきっと簡単にくたばらないだろ。
だから、お前は希望だ。
どうか、生きてくれ。
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作者名:クロ | 作成日時:2019年7月13日 1時