バイバイ ページ37
こんな場所に墓場なんかあったのか…
そう思いながら歩いていると、太宰が止まり、目の前の墓には、友の名があった。
『仕事が早いな。なんか急ぎの用事でもあるのか?』
「…そうだね。A、私はマフィアを抜けるよ。」
『え?』
太宰のその言葉に耳を疑った。
マフィアになる為に生まれた男ともあろう、あの太宰がマフィアを抜ける?
『冗談だろ?』
「私が冗談で、こんな事言うと思うかい?それも、織田作の目の前で。」
太宰のその言葉に嘘が無いと分かり、また言葉を失った。
「織田作が言ったんだ。良い人間になれって。だから、私はそうする。」
『織田作が…お前に…』
「Aは、どうする?」
『!…私?』
「君は、自分がマフィアに向いていると思うかい?」
『…はぁ、お前まで、私はマフィアに向いていないって言うのかよ。』
「あぁ、中也か。彼と君は随分仲が良いもんね。付き合ってるの?」
『付き合っては…って、何でそんな事あんたに言わなきゃいけないのよ。』
「まぁ、それは別に良い。だけど、半端な気持ちで居られる程マフィアは甘く無い。知ってると思うけど。私はAは人を救う側に行くべきだと思う。きっと、織田作もその方が喜ぶ。それに…中也も。」
『!…私は…』
「今すぐ答えを出す必要は無い。けど、私は次の任務でマフィアを抜ける。君もその気なら、来ると良い。」
『!、太宰…』
太宰は戸惑うAを置いて、その場から去って行った。
1人取り残されたAは、しゃがみ込んで、溜め息をついた。
『はぁ…もぅ、何なんだよ、頭がごちゃごちゃだよ…』
織田作の墓を見て、お前は良いやつだったな。
私が1人で居た時、いつも話を聞いてくれた。
あいつらとは違って、私の話を聞いてくれた、
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『良い、友達だったよ。』
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そう呟いた、彼女の頰に流れる涙を流した理由の相手は、もうどこにも居ない。
『バイバイ…織田作。』
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またね。
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作者名:クロ | 作成日時:2019年7月13日 1時