検索窓
今日:8 hit、昨日:3 hit、合計:58,983 hit

久しぶり ページ36

あの後、中也を置いて部屋から出て行った。

何も持たず、呆然と歩いていた。

行くあてもなく、フラフラと歩いていると、

夜風が吹き目を閉じた。

そして、目を開けるとそこには、あの日以来会ってなかった男がいた。

「やぁ、良い夜だね。」

『…太宰。』

「ひどい顔してるね、大丈夫?」

『…死にたい気分だ。』

「へー、本当かい?私はいつだって死にたいよ。この世には心中という自 殺方法があるのだよ、君が良ければ僕とするかい?」

『…今なら、お前でも良いかもと思う位にはアリだな。』

心ここに在らずに話す彼女に、太宰は肩をすくめると歩み寄ってきた。

「今の君は、いつものからかい甲斐のあるAじゃないね。」

そう言うと、彼女を抱き締め

「君に案内したい場所がある。付いてきたまえ。」

そう言った。

太宰が耳元で言った言葉に、頷きもせず拒絶もしなかった彼女から離れると、太宰は歩き出し、

Aは黙ってついて行った。

着いた場所は、墓場だった。

バイバイ→←プレゼント



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
76人がお気に入り
設定タグ:文スト , 中原中也 , 太宰治
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:クロ | 作成日時:2019年7月13日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。