ベランダ ページ4
帰宅して、ベランダでお酒を飲んでいると、
携帯が鳴ったので出た。
『中也、どうしたの?』
「また呑んでたのか?」
『んー呑んだ。今も飲んでる。』
「あんま呑み過ぎんなよ。明日は夜からとはいえ仕事あるぞ。」
『中也。』
「何だ?」
『来てるなら早く入りなよ。』
「…気付いていたのか。」
『音でね。中也歩いてるし、ドアの外から気配してる。』
鍵を開ける音が響く。
見なくても彼だと認識をしていたので、振り返らずベランダで飲んでいると、そこに中也が来た。
「今日なんかあったか?」
私の機嫌が微妙だったのを感じたのか、中也がこちらを見ずに聞いてくる。
『別に?織田作と呑んで、太宰が来たから帰ってきただけ。』
「織田作って、あの織田か。お前が珍しく気に入ってる奴と、心底嫌いな奴が友達とはな。」
『織田作は良い奴だ。太宰みたいな奴と付き合えるのは彼みたいな天然位だ。』
「天然なのか?」
『天然だよ。同じ世界で生きてる気がしない。』
「…お前が生きてる世界に俺はいるのか?」
『何を今更。』
そう言って、中也に寄りかかる。
『中也の匂い…好き。』
「今日も人を殺してる。血の臭いしかしないだろ。」
『血の臭いなんか、もう私には分からない。そんなものじゃないの。中也の匂いは…好き。』
そう言うと中也が頭を撫でてくれながら、彼も私の頭に頭を傾けた。
「この世界から抜けたいと思わねぇのか?俺は…お前が望むなら、光の世界に逃がしてやる。」
『またその話?…そこに中也はいなんでしょ?私の居たい場所は中也がいる場所だよ。中也がいない光の世界は嫌だ。』
「…そうだな。」
中也が私にこの話題を振るのは、これが初めてではない。
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作者名:クロ | 作成日時:2019年7月13日 1時