行かないで ページ25
太宰から連絡をもらった私は、教えてもらった場所に急いで向かった。
そこで目にしたものは、織田作と太宰が呆然と現場を見る姿だった
『…織田作。なんと言えばいいのか…!』
織田作の顔を見て言葉を失った。
長い付き合いだが、彼のこんな顔を私は見たことがなかった。
今の彼を1人にしてしまったら、どこかに行ってしまいそうな、いや…ちがう。
もう、私の手の届かない場所へと進んでいってる。
そう感じてしまう程、彼の顔には絶望と諦め、悲しみと怒り、色んな負の感情が出ていた。
「太宰、A。」
『!』
「俺は、本を書きたかった。人を殺す奴に、その資格は無いと思った。だが…もういいんだ。もう、何も無い。」
『お、織田作…待って…』
「行くな、織田作!」
「A…菓子、届けられなくて、ごめんな。」
『…そんな、お菓子なんて今は…』
「子供達には、仇をとった後で俺が謝る。」
『?!待って、織田作、行かないで!!織田作!!』
叫んでも、彼に私の声が届く事はなかった。
太宰も彼に手を伸ばすが、その手が彼に届く事はなかった。
織田作が去ってしまった後、私は建物の一階に落ちていたお菓子の袋を見て、奥に血の跡があるのを見つけた。
きっと、子供達を織田作と一緒に養っていた人だろう…
そして、建物の隣には、何かが爆発した跡があった。
子供達は、きっとあそこにいて…
織田作は、それを見てしまったのかもしれない。
私がそれを見ていると、太宰は私の隣に来た。
「ボスが秘密の会合に出席したらしい。相手は特務課、安吾を仲介役にした会合だ。機密度が高過ぎてこれ以上は裏が取れなかったが、何かある。」
『ボスが?!それにまた特務課…安吾だと…』
「私は今から織田作を救援する為にボスに部隊の編成の許可を貰いに行く。君はどうする?」
『…織田作の所に行く。』
「分かった。」
『太宰。ここに来る前、ボスが私に安吾の事を聞いてきた。』
「安吾を?」
『意味が分からなかったが、裏切り者の安吾を悪く思ってはいなかった。うちで裏切りは許されないのに。』
「嫌な予感しかしないね…。」
太宰はそう言うと踵を返して本拠地へと向かっていった。
私も直ぐに織田作が向かった場所へと後を追う事にした。
しかし、その時電話が鳴った。
こんな時に誰だ。
見ると、知らない番号からだった。
気になってボタンを押して耳に当てると、意外な人物からだった。
76人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クロ | 作成日時:2019年7月13日 1時