14話 ページ16
[A視点]
美味しいご飯をいっぱい食べて、満足した。……いや、何満足しちゃってるんだ。色々あって忘れてたけど、ここは敵国だ。早く、あの人の元に…。あの人？僕達を利用していただけのあの人の元に戻ったとして、僕はいつもどうりに居られるのだろうか。
僕は戻れない。多分、今頃僕は戦死したことになっているだろうし、僕はきっと"心の底から"あの人に忠誠を誓うことは無理だ。ふとした瞬間に総統さんの言葉を思い出してしまうだろう。
それに僕は、昨日会ったばかりの人と少し仲良くなっただけであの国を、あの人を忘れていたんだ。産まれた時からあの人に対して抱いていた気持ちはきっと嘘じゃない。だけどそれまでだったのだ。僕はもう戻れない。
じゃあ僕は誰のために生きればいいんだ。
gr「そんなの、お前のために決まっているだろう。」
振り返ると、総統さんが立っていた。
gr「誰かのために生きるんじゃない、自分のために生きるんだ。Aは今まで、人のために生きていたからピンと来ないかもしれないが、本当は自分のために命を使うべきなんだ。」
「僕のために…？」
gr「そうだ。今まではアイツのために、お前の家族のために忠誠を誓い、それだけを信じてたから知らないんだろう？自分のために生きることを。」
確信を着いたような声で、僕に語りかけてくる。コイツの言葉は苦手だ。いつもどこか隙間がある僕の心に、スっと刺さってきて埋めてくる。それが辛いことでも、いい事でもお構い無しに刺さってくる。それは心の奥で本当は僕も思っていたことだから、ピッタリ埋まるのかもしれない。だから、コイツの言葉は苦手だけど納得出来るんだ。
でも、納得できたからと言ってそれが実行できるかは別だ。自分のために生きる、生き方を僕は知らない。
gr「なら、Aは俺の為に生きろ。ただ、これは命令じゃない。提案だ。お前の意思で選んで、俺の為に、俺の国の為に生きてみないか？今すぐ忠誠を誓うことが難しいことは俺もわかっているから、今は忠誠を誓わなくてもいい。」
gr「Aはどう生きたいんだ？」
僕は、僕は……。
「僕は、貴方のために生きたいです。」
正直、今の今まで総統さんに良いイメージはなかった。だけど今の言葉は信頼できると思った。信じたいと思った。何かに縋りたかっただけかもしれない。一時の迷いかもしれない。だけど僕は今、彼の為に、彼の国の為に生きたいと確かに思った。
僕は初めて、自分の本当の意思を聞いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 355人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わんぱん - 待って好きだ…ご馳走様でした(^o^) (2020年8月16日 18時) (
レス) id: b542029aeb (このIDを非表示/違反報告)
ロード(プロフ) - 因幡さん» 早めに知ることで、夢主ちゃんにとって"特別な人"感を出したくて教えちゃいました…！面白くなるように頑張るので、これからもよろしくお願いします！ (2020年6月28日 9時) (レス) id: b24e049306 (このIDを非表示/違反報告)
因幡(プロフ) - …snさん…なんでそこで教えちゃうんですかぁ〜もうちょっと後のほうが面白いのになぁ〜 (2020年6月28日 1時) (レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
ロード(プロフ) - 零斗さん» 更新しながら、面白くなっているか不安だったのでそう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます。グルッペンさんですね！他にいらっしゃらなかったらグルッペンさんで進めていこうと思います。 (2020年6月18日 21時) (レス) id: b24e049306 (このIDを非表示/違反報告)
零斗 - 最近見始めたのですが、とても面白かったです！落ちはグルッペンがいいです。よろしくお願いします。これからも更新頑張って下さい！ (2020年6月18日 19時) (レス) id: 300461bf22 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ロード | 作成日時：2020年6月5日 23時
